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2006年1月15日 (日)

「海辺のカフカ」〜村上春樹版大人は判ってくれない

ここに来て、村上春樹熱が再燃。遅まきながら、「海辺のカフカ」を読んだ。

海辺のカフカ(上巻)海辺のカフカ(下巻)

自らを田村カフカと名乗る15歳の少年が主人公で、父親殺しがテーマになっている。

物騒を承知で書くと、男ならば、一度は父親を殺したいと思ったことはあるのではないか? 同じ男から見ると、父親というのは越えるべき目標であったり、ライバルである。僕も、反抗期には「ぶっ殺してやる」なんていう暴言も吐いたもんだ。

父親殺しというと、かなりハードな内容を想像するかもしれないが、村上氏にかかると、ちょっとしたオブラートに包まれている。父親殺しは実際に起こるのだが、なるほど、こう処理するのか、と思うほど鮮やかな手口だ。

ストーリー全体を通じて、やや強引なところもあるが、それは確信犯のように思える。けっして、最高傑作とは思わないけど、久々に村上春樹の長編を楽しんだ感じ。満足である。

父親殺しは、古典からのテーマ。一番有名なのが、同書でも出てくるオイディプス王の物語だろう。

僕は同じ田村という名前から、田村孟氏が脚本を書いた青春の殺人者 デラックス版(長谷川和彦監督)をまっさきに思い出してしまった。この映画では、若き日の水谷豊が父親殺しの青年を演じ、原田美枝子がヌードを披露している。

この田村カフカの物語と平行して語られるのが、ナカタさんという老人。太平洋戦争時の遠足中に集団昏睡という事件に遭い、秀才から一転、知能障害を負ってしまったという設定。イワシやアジを降らせることもできる。この辺りは、カエルを空から降らせる「マグノリア」の影響もあるのか?と勘ぐったりして。

村上氏はロバート・アルトマン好きのようだし、アルトマンの影響色濃い新鋭ポール・トーマス・アンダーソン監督の傑作は当然、見ているだろうなぁ。

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ここまでは僕の予断なんだけど、実際に出てくる映画は、仏ヌーベルバーグの旗手と言われたフランソワ・トリュフォーの2本。

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ナカタさんはカフカ少年がいる高松までヒッチハイクで旅をすることになる。そのナカタさんを連れて行くのが、トラック運転手のホシノ青年。普段はアクション映画しか見ないというホシノ青年が、時間つぶしに入った高松駅近くの映画館で、この2本を見る。トリュフォー回顧展をやっていたということだが、随分イキな映画館だ。

村上氏は「大人は判ってくれない」を、カフカ少年にも見せ、こう語らせている。

「映画の中にアントワーヌ少年が家出をしておなかを減らせ、早朝にどこかの家に配達されたばかりの牛乳を盗み、こそこそと歩いて逃げながら飲むシーンがあった。大きな牛乳瓶で、飲みきってしまうのにずいぶん時間がかかる。哀しくせつないシーンだ。ものを食べたり飲んだりするのが、それほど哀しくせつないことになりうるなんて、信じられないくらいだ」

ここまで丁寧に書く以上、このカフカは村上版「大人は判ってくれない」と読んで、差し支えないんだろう。

後は「カサブランカ」「サウンド・オブ・ミュージック」が引用されている。

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どちらも言わずとしれたハリウッドの傑作。これを機会に見直してみようかな。

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