« グリーンモンスター完成〜ゴーヤチャンプルを夢見てPART8 | トップページ | 「君が代」に出てくる「さざれ石」〜検見川神社 »

2007年7月12日 (木)

廃墟・遺構を行く〜検見川送信所2007夏

ニイタカヤマノボレ。真珠湾攻撃を告げる暗号だ。

「前畑頑張れ!」これは1935年のベルリン五輪水泳での実況。

これらは全て、ここ検見川送信所から発信されたという。(※「ニイタカヤマノボレ」の暗号は海軍無線電信所船橋送信所から送信されたことが後に判明。2007年8月12日 (日)「検見川送信所とニイタカヤマノボレ1208」


検見川送信所 手前はエゴノキ

歴史はここから作られたと言ってもいいすぎではないだろう。1926年、東京無線局検見川送信所として開局した。

最近、自転車で行く歴史探訪がマイブームとなっている。これが案外面白く、ガイドブックには載らない場所にスポットを当てたいと思っている。そんな中、ネットで調べていたら、この検見川無線局にぶつかった。

正直、存在すら知らなかった。地元では歴史的遺構というよりも、幽霊が出没するミステリースポットとして知られていたようだ。

06年4月のこの記事によれば、この歴史的遺構は取り壊しの危機にあるという。これは行かなければなるまい。勝手な使命感に燃え、自転車に乗った。

目印とされる薬局を曲がるが、ブログで見かけたような風景は見つからない。辺りを何周もしてしまった。

僕は地理に鈍いわけではないが、この歴史探訪に限っては毎回のように道に迷っている。もっとも地元だからとタカをくくって、地図を持たないのがいけないのだ。

しかし、どこに?

さては、既に取り壊されてしまったか?もしかして、さっき通りすぎた建設中のマンションがその跡地か。

玄関先に出ていた壮年の女性に場所を聞いた。

「それなら反対側ですよ。でも、もう取り壊されて、何にもないですよ」

やはり、来るのが一年遅かったか。

「今は宅地になっていますよ。これから、どんどん増えていくんじゃないですかね」

失望しながらも、記念碑くらいは建っているだろうと思った。

逆向きに走り、今度はお年寄りの男性に道順を聞いた。

「建物はまだあるよ。近くまで入れるんじゃないかな」

ジョギングによさそうな遊歩道から50メートルほど入ったところに、検見川送信所はあった。



実際には新検見川駅から歩いて10分ほど。剥き出しのコンクリートで重厚な造り。生い茂った草木。確かにミステリースポットの要件は十分満たしている。

さっきの女性の言葉なんだったのだろう?

送信所跡はまだあるのに。彼女にとってはなきに等しいということか。

もしかしたら、取り壊して欲しい過去の遺物なのかもしれない。

ここは元々、NTT(電電公社)の土地であったそうだが、今は千葉市に移ったと聞いた。
僕は自転車をフェンスにくくりつけて、一眼レフを取り出した。

「検見川無線局」と書いたが、表記は定まっていないようだ。それくらい忘れられた遺構ということかもしれない。

記念碑には「検見川無線局跡」とあったが、「検見川無線局」という名称で検索すると、556件。一方、「検見川送信所」が13900件。こちらの方がメジャーのようなので、以後「検見川送信所」と記す。

送信所は貴重な大正時代の建築物で、戦時中は軍事通信として、戦後は警察無線、写真送信などを行なってきたという。

芋畑だったという跡地は宅地で、ぽっかりと空いた空き地の真ん中にポツンと立っている。



今回はキヤノン一眼レフ30DとRICOHのCaplioGX100をナップサックに入れてきた。フェンス越しにしか撮れないなら、望遠レンズで構え、近くまで寄れたら、CaplioGX100の広角レンズで狙うつもりだった。

フェンス近くから数枚切った後、周りを歩いてみた。敷地の角には市民農園のようなものがある。隣の敷地は野球場で、送信所へのアプローチがあった。

不法投棄されたゴミが散乱し、草木が鬱蒼としている。このところの長雨の影響で地面はぬかるみ、やや足を取られたが、近くまで行けそうだ。

ただ失敗したのは替えのシューズを持ってこなかったこと。サイクルシューズのビンディングの間に泥がハマった。

ネットで見た写真とは違って見えたが、それはより一層、木が勢いを増しただけだったようだ。



この建物の設計者は「東京中央郵便局」「大阪中央郵便局」など逓信省の建築物を数多く設計した吉田哲郎。建物が歴史的な意味を持つだけでなく、建築物そのものに大きな価値がある。丸みを帯びた角はユニークだ。



記念碑は建物近くにあった。







しかし、無惨にも「検見川無線局跡」と刻まれたプレートは落ち、もう一つに至っては何が書いてあるのかすら分からない。

ここが忘れられた遺構であることを強調しているようだ。

1979年に廃局になったが、ここまで取り壊されなかったのは、この建物自体が頑強だったとも言われる。



建物の窓、ドアの全てには赤い鉄板が打ち込まれている。

近年は歴史的な意義が忘れられ、幽霊スポットとしても知られるようになり、荒らす人間が多かったようだ。



建物の前は高台になっていた。ここがアンテナの跡か? 左には幕張の高層ビルがチラリと見える。

さて、僕は可能な限りの接近を試みた。ここはどの部分に当たるのだろう。



一見、無骨なコンクリート造りに見えながらも、丸みを帯びているところが、この建物のユニークなところだ。手すり、ひさしに柔らかさを感じる。


敷地内にある農園に咲いていた咲き終わり気味のヒマワリ

ここは残すだけの大きな意味がある。例えば、世界へ文化を発信する施設にしたら、どうだろうか? 美術、音楽、映像、写真。それらが楽しめる場所になれば。かつて、植民地へ電波を送っていた施設がアートの発信基地に生まれ変わる、とか。

しかし、それにはどうするべきなのか、僕にはいいアイデアが浮かばない。声を大きくすれば、それは届くのかもしれない。

「検見川送信所2007夏」という題名にしたのは僕なりの思いだ。もし、取り壊しとなり、消えてしまった時も、「2007夏には検見川送信所は確かにあった」ということを確実に残しておきたかった。

ここは廃墟マニアには知られた場所で、ネット上にも数々の写真が載っている。それらと合わせて、どんな意味を持つ場所なのか、思ってくれたら、いい。


参考にさせてもらったサイトをいくつか紹介します。

検見川無線送信所あれから21年
同所にお勤めされていた方の回顧録。時代背景、73年当時の貴重な写真も伺うことができます。

検見川送信所
現役時代、92年当時の写真などを掲載。建築家・吉田鉄郎氏の紹介も。

アートプロジェクト検見川2000
実際に2000年にはアートイベントが行われたようです。

今回の写真ギャラリーはこちら

写真は30DCaplio GX100で撮影。


《新品》RICOH Caplio GX100 VFキット
Map価格 59,810円 (税込 62,800 円)


EOS 30D ボディ
当社販売価格 122,800円 (税込128,940円) 送料別






|

« グリーンモンスター完成〜ゴーヤチャンプルを夢見てPART8 | トップページ | 「君が代」に出てくる「さざれ石」〜検見川神社 »

検見川送信所」カテゴリの記事

コメント

TITLE: Re:●廃墟・遺構を行く〜検見川無線局2007夏(07/12)
SECRET: 0
PASS:

無い筈の廃墟が未だ残ってる・・・・不思議な体験ですね。



日本はこういった歴史的な資産に対する保護は後進国ですね。海外では大抵保護の対象になるでしょうに。



「前畑頑張れ!」公共放送のアナウンサーの実況としては、マズいのだそうですが、そういう声が心を打つ・・・・・そんなものなのかも知れません。

投稿: しぇるぽ911 | 2007年7月13日 (金) 15時00分

TITLE: Re[1]:●廃墟・遺構を行く〜検見川無線局2007夏(07/12)
SECRET: 0
PASS:

しぇるぽ911さん

>無い筈の廃墟が未だ残ってる・・・・不思議な体験ですね。



おばさんの言葉がテキトーだったのかもしれません。



>日本はこういった歴史的な資産に対する保護は後進国ですね。海外では大抵保護の対象になるでしょうに。



そうですね。資産という意識が薄いのでしょうね。目下、都市計画の予定が入っているようです。移築でもいいから、うまく残して欲しいですね。



>「前畑頑張れ!」公共放送のアナウンサーの実況としては、マズいのだそうですが、そういう声が心を打つ・・・・・そんなものなのかも知れません。



まあ、日本向け放送ですから、許されるのでしょう。日本人の心情を代弁したというか。確か14回連呼したんですよね。

投稿: 久浩 | 2007年7月13日 (金) 17時48分

TITLE: 迷わしちゃいまして
SECRET: 0
PASS:

ありゃりゃ、迷われてしまったんですね。

不親切な案内で済みませんでした。<m(_ _;)m>

福太郎の「向かい」とすればよかったですねー。

書き直しておくことにします。

先日また行ってみたら、送信所正面玄関階段あたりは昨年よりも更にボロくなりました。

正面玄関の前に碑があるのですが、ご覧になりましたか?

今は草に埋もれている上、何が書いてあるのか良く分からないのですが。

写真撮ったので、数日以内にアップしておきます。

投稿: シン | 2007年7月14日 (土) 11時49分

TITLE: Re:迷わしちゃいまして(07/12)
SECRET: 0
PASS:

シンさん

>ありゃりゃ、迷われてしまったんですね。

>不親切な案内で済みませんでした。<m(_ _;)m>



いえいえ、ちゃんと読めば簡単に行けました。

福太郎のことばかり気になってしまい、逆方向に行ってしまいました。



>福太郎の「向かい」とすればよかったですねー。

>書き直しておくことにします。



>先日また行ってみたら、送信所正面玄関階段あたりは昨年よりも更にボロくなりました。



やっぱり、そうですか。PART3で載せたのが正面でしょうか?



>正面玄関の前に碑があるのですが、ご覧になりましたか?



はい。PART2に載せたものがそうですよね。



>今は草に埋もれている上、何が書いてあるのか良く分からないのですが。

>写真撮ったので、数日以内にアップしておきます。



プレートの方は何も読めませんでした。

拝見します。



ハス祭りは雨のため断念しました。

投稿: 久浩 | 2007年7月14日 (土) 12時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/153718/40736617

この記事へのトラックバック一覧です: 廃墟・遺構を行く〜検見川送信所2007夏:

« グリーンモンスター完成〜ゴーヤチャンプルを夢見てPART8 | トップページ | 「君が代」に出てくる「さざれ石」〜検見川神社 »