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2007年8月21日 (火)

「建築を語る」(安藤忠雄)★★★★


建築を語る

この本は安藤忠雄氏が20代の若者向けの講演をまとめたもの。建築家を志す人だけでなく、万人が読める内容だ。

安藤氏は新しいものだけでなく、古い建築物の再生も手がけている。本書で出てくるのは大山山荘美術館(京都)。イタリア、フランスには古いものを残す技術も材料も残っているが、日本にはそういったものは急速に失われていると、書いている。

結局、安藤氏は京大教授の意見も参考にしながら、70年前の竣工当時の近くに復元したそうだ。

安藤氏はいう。

「日本では経済の論理が優先され、歴史的にも文化的にも意義のある建築はどんどんなくなっていきます。それは近代化を達成するための代償として目をつぶらねばならないことでしょうか。私はそうは思いません」

フランスでは歴史的な建築物は保護されているという事実がある、という。たとえばでいえば、オルセー美術館は駅舎を改造したもの。ほかにもこんな例はゴロゴロと転がっている。

また、解体の話が持ち上がっていた「旧中之島公会堂(現大阪中央公会堂)」(大阪)では頼まれもしないのに、勝手に設計までして、行政に提案している。

送信者 辰野金吾建築

しかし、行政は「心配していただかなくても我々は考えている」と言い、没にしたそうだ。安藤氏でさえ、そうなのだから、行政を動かすことは難しい。

しかし、自分が住んでいる町が誰の物か?と考えたら、それは町のものではなく、そこに暮らす市民のものだ。大胆に言えば、考えるのは我々市民の方で、その希望をいかに叶えるのは行政の仕事なのではないか?

その反面、僕ら市民は市民であることをさぼりすぎていたんじゃないかなと思えてきた。

次は安藤氏のキーワードである「連戦連敗」を読もうと思っている。


連戦連敗

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書評 ブックレビュー」カテゴリの記事

コメント

TITLE: Re:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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安藤忠雄さんなんて、現代建築の雄ですから、

それこそ「スクラップ&ビルド」の権化のようにとらえていました。

実はこれだけ古きものを大切にされる方なんですね。

大変、失礼な考えをしていたものです。

投稿: まさやん0386 | 2007年8月21日 (火) 18時20分

TITLE: Re:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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私も安藤忠雄って新築しかやならいのかな?と思っていました。思い込みですね。



>頼まれもしないのに、勝手に設計までされ、行政に提案している。



 こんなことまでしているのですね。感心してしまいます。

投稿: takaak | 2007年8月21日 (火) 22時51分

TITLE: 行政と市民
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>しかし、行政は「心配していただかなくても我々は考えている」と言い、没にしたそうだ。



う"う"・・・、どこも同じようなもんですね。

大阪も(府か?市か?)ハコモノ ダイスキなとこですもんね。





>僕は思うのは、自分が住んでいる町が誰の物か?と考えたら、それは町のものではなく、そこに暮らす市民のものであるということだ。



そう。住民がいるからこそ、その住民達が住みやすく、生活しやすい地域を作る合理的なシステムが行政であり、その共同事業にかかるお金を捻出するのが税金であるはずなんだが、「お上のやること(市民に権限はない)」「年貢」という概念が今でもしみ込んでいるのかなあ。

えーと、これは、国民が自らの手で勝ち取った民主主義(憲法)じゃないから(そう言う意識が芽生えない)のだと誰かが言っていたような。





>大胆に言えば、考えるのは我々市民の方で、その希望をいかに叶えるのは行政の仕事なのではないか?



同意。本来はそうだと思います。

結構思いっきりその方式でやったと思われるのが「ベイタウンコア」

http://baytown.ne.jp/core/

あの町は「東京から来た住民意識の高い新しい人」たちが多いからできたのだと言いますが。

通常は「自分たちが町を作る」なんてことにあまり興味ないみたい?

投稿: シン | 2007年8月22日 (水) 09時01分

TITLE: Re:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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"濃い"というのが彼に対するイメージです。



夏は暑く、冬は寒いのが自然だ!という彼の一般住宅向けRC工法には賛同しかねますが、いろんな取組みをやっておられるんですね。



ドイツでみた建築の保存は、特別な建物でなくても、古民家でも対象となる点に惹かれました。法律による規制で外観は保護されているため、内装に大々的なリフォームをして住まうのが、お金持ちのステータスだそうですが、そういう文化もいいかな?と思います。

投稿: しぇるぽ911 | 2007年8月22日 (水) 10時02分

TITLE: Re[1]:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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まさやん0386さん

>安藤忠雄さんなんて、現代建築の雄ですから、

>それこそ「スクラップ&ビルド」の権化のようにとらえていました。

>実はこれだけ古きものを大切にされる方なんですね。

>大変、失礼な考えをしていたものです。



まだ書いていないこともあるので、次回。

思想はかなり分かりやすいですし、共感できるものがあります。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 10時43分

TITLE: Re[1]:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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takaakさん

>私も安藤忠雄って新築しかやならいのかな?と思っていました。思い込みですね。



同潤会アパートの再建は割と有名ですが、ほかにもやっていたんですね。



>>頼まれもしないのに、勝手に設計までされ、行政に提案している。



> こんなことまでしているのですね。感心してしまいます。



結構、提案をしているようです。行政はほとんど相手にしてくれないと書いていますが。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 10時46分

TITLE: Re:行政と市民(08/21)
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シンさん

>>しかし、行政は「心配していただかなくても我々は考えている」と言い、没にしたそうだ。



>う"う"・・・、どこも同じようなもんですね。

>大阪も(府か?市か?)ハコモノ ダイスキなとこですもんね。



基本的にハコものを作ることは難しいことではないでしょうし、一種の業績として分かりやすいですからね。



安藤氏は、このハコ物行政、ハコ物至上主義のような考えには痛烈に批判しています。



>そう。住民がいるからこそ、その住民達が住みやすく、生活しやすい地域を作る合理的なシステムが行政であり、その共同事業にかかるお金を捻出するのが税金であるはずなんだが、「お上のやること(市民に権限はない)」「年貢」という概念が今でもしみ込んでいるのかなあ。

>えーと、これは、国民が自らの手で勝ち取った民主主義(憲法)じゃないから(そう言う意識が芽生えない)のだと誰かが言っていたような。



なるほどね。

僕は冗談半分に、本当は本気で言うわけですが、税金は現金納入制にすれば、市民の意識は変わると思いますよ。天引きって、払う方も受け取る方もありがたみが減りますから。



「ベイタウンコア」

http://baytown.ne.jp/core/



ちらっと見ましたが、取り組みは面白いですね。千葉市でも、こういう好例があるのだから、ほかにも波及してもおかしくはない。



政令指定都市というのはある種のモデル都市なんだから、モデルになるような行政であってほしいですね。



>あの町は「東京から来た住民意識の高い新しい人」たちが多いからできたのだと言いますが。

>通常は「自分たちが町を作る」なんてことにあまり興味ないみたい?



ゲームくらいなものなんでしょうか、シムシティとかね。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 10時55分

TITLE: Re[1]:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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しぇるぽ911さん

>"濃い"というのが彼に対するイメージです。



濃いですね。

それに疲れそうです。安藤忠雄的な生き方は。

建築は闘いである、と言い切る人ですからね。



>夏は暑く、冬は寒いのが自然だ!という彼の一般>住宅向けRC工法には賛同しかねますが、いろん>な取組みをやっておられるんですね。



安藤建築は、よく不便だと言われますね。彼の事務所もけっして使い勝手がいいわけではないようです。前の記事で書いたような気がしますけど。



彼本人は、闘う人ですから、不便さなんて、どってことないという考えなのかもしれませんね。



>ドイツでみた建築の保存は、特別な建物でなくて>も、古民家でも対象となる点に惹かれました。法>律による規制で外観は保護されているため、内装>に大々的なリフォームをして住まうのが、お金持>ちのステータスだそうですが、そういう文化もい>いかな?と思います。



最高のぜいたくはそういうものでしょうね。日本でも古民家再生はお金がかかるそうですよ。



僕ならDIYでコストダウンを図るかなぁ。



建築物保護に関しては、日本は大いに遅れを取っていますね。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 11時00分

TITLE: Re[1]:行政と市民(08/21)
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>税金は現金納入制にすれば、市民の意識は変わると



給食費でもそう言われてますね。

天引きは、残った金額にしか目がいかないからねー。

あと、年度末にその年の税金の使い途と借金を

分かりやすい円グラフで発表して欲しいな。




投稿: シン | 2007年8月22日 (水) 11時49分

TITLE: Re:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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安藤忠雄さん、そんな書籍を出していたのですね。



街は市民のもの。全くその通りですよ。

ただ、行政というのは市民のために動くとは限りませんよね。

政治と深く結びついていますしね。

政治はさわやかには行きませんから、ここが難しいところでしょうか。。。

投稿: 音楽と薔薇☆うっちい | 2007年8月22日 (水) 21時08分

TITLE: Re[2]:行政と市民(08/21)
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シンさん



>>税金は現金納入制にすれば、市民の意識は変わると



>給食費でもそう言われてますね。



うちも給食費は天引きでした。



>天引きは、残った金額にしか目がいかないからねー。

>あと、年度末にその年の税金の使い途と借金を

>分かりやすい円グラフで発表して欲しいな。



それはいいですよね。行政はもっともっと事実を提示してほしいですね。



夕張市の財政破綻なんか、市民は青天の霹靂だったようですよ。夕張の友人が言っていました。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 21時31分

TITLE: Re[1]:安藤忠雄「建築を語る」(08/21)
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音楽と薔薇☆うっちいさん

>安藤忠雄さん、そんな書籍を出していたのですね。



安藤さんの本は結構出ているようです。



>街は市民のもの。全くその通りですよ。

>ただ、行政というのは市民のために動くとは限りませんよね。

>政治と深く結びついていますしね。



っていうか、政治そのものですよね。



>政治はさわやかには行きませんから、ここが難しいところでしょうか。。。



そこが政治不信の根っこではないでしょうか。

投稿: shocota | 2007年8月22日 (水) 21時34分

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