« 「24 -TWENTY FOUR-」シーズン6も26%オフ | トップページ | 「千都よみうり」に10・27検見川送信所を知る会イベントが掲載 »

2007年11月23日 (金)

日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?

検見川送信所は日本に現存する送信所建築では最古のものになるようです。1930年には日本初のラジオ放送も担ったわけですから、その存在は大きい。


kemigawa 1926

では、そのルーツはどこにあったのか?

検見川送信所は、同じ逓信省営繕課の山田守氏が作った岩槻受信所(1924年、埼玉県、現存せず)をモデルに、吉田鉄郎氏が設計した、と言われています。(「分離派建築博物館」)


iwatsuki 1924

送信所と受信所は対をなす存在だったようです。先に、山田守の表現主義風の建物があり、同じく営繕課にいた山田氏がそれに呼応したという説です。

この件には先日、お話を伺いにいった「建築虎の穴見聞録」の大嶋信道さんも、興味深い指摘をされています。


建築虎の穴見聞録

「送信所はいってみれば、ハイテクを装備した当時の最新建物なんです。前例がないことだから、それをどう作るかは建築家も頭を悩ませたことでしょう」

そういって紹介したのが、下の写真。オランダのラジオ放送局「ラジオ・コートヴァイク」です。ジュリアス・マリア・ルスマンという建築家が設計したもので、1920年から22年にかけて作られたようです。


Radio_Kootwijk 1922

「営繕課では、世界の建築物の資料を取り寄せていたと思われます。この建物のことも知っていた可能性が強い」と大嶋さんは言います。

「分離派建築博物館」のきくちさんが作成した資料にも、この建物は載っています。きくちさんの分類によると、ドイツ表現主義の流れにあるもので、アムステルダム派と呼ばれるグループに属するようです。

まったくの素人の私見ですが、このオランダの放送局は角ばっていて、アールデコの趣があるように思えますが、形状には共通点が見受けられます。

では、これを手本に、吉田鉄郎が検見川送信所を設計したのか、といえば、そうでもないように思えるのです。

というのも、吉田氏はこれに先駆け、1919年に東大の卒業設計で似たようなデザインの「美術協会」という建物を発表しています。見比べてみてください。



オランダの放送局のフォルムと非常に似ています。検見川送信所との類似点もあるでしょう。
「建築世界」という雑誌にも掲載されたようです。

出展元

建築家吉田鉄郎とその周辺

このオランダのRadio Kootwijkは現存します。アムステルダム在住の建築家、@kiramsterdamさんによれば、利活用しようとはしているんですが、なかなか難しいようです。ただ、時々イベントが行われているなので、いつか行きたい場所のひとつです。



wikiによれば、人口120人の小さな町にあるようです。短波、長波を流し、無線技術の発展に大きな役割を果たしましたが、最後は衛星通信に取って代わられ、その役目を終えたようです。検見川送信所と同じような運命をたどっています。現在は公園になっているようで、04年にはレーニン・ハーリン監督のアクション「マインドハンター」のロケに使われた、と書かれています。


マインドハンター

オランダ語で読むことはできませんが、公式ページも存在します。

Radio Kootwijk
鉄塔、蜘蛛の巣状に張られた空中線などの写真が掲載されていました。


|

« 「24 -TWENTY FOUR-」シーズン6も26%オフ | トップページ | 「千都よみうり」に10・27検見川送信所を知る会イベントが掲載 »

検見川送信所」カテゴリの記事

コメント

TITLE: Re:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

吉田氏の「美術協会」、国会議事堂に似ているようにも見えますね。

投稿: takaak | 2007年11月23日 (金) 17時47分

TITLE: Re[1]:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

takaakさん

>吉田氏の「美術協会」、国会議事堂に似ているようにも見えますね。



僕もそう思いました。今の国会議事堂は1919年2月に決まった公募案から選ばれたようです。美術協会も同年製作です。多分、卒業制作は卒業式ぎりぎりに作ることはないでしょうから、たまたま同時に似たようなデザインになったということではないでしょうかね?



当時の流行だったのかもしれませんね。

投稿: 久住浩 | 2007年11月23日 (金) 19時59分

TITLE: Re:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

オランダのラジオ局、今の写真もいいですね。検見川も、中を利活用することが無理だったら、公園のシンボルタワー的に残すのもありかと思います。

投稿: イッシー | 2007年11月23日 (金) 22時48分

TITLE: Re:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

送信所の機能性を追求していくと、効果的な建物の造作は共通した設計になるんでしょうかね?



このオランダの「Radio Kootwijk」は、とても立派に保存がなされているようですね。

ホムペも見てみましたが、気合いが入っているように感じました。

さすが古いものを大切にする欧州なだけあります。

投稿: まさやん0386 | 2007年11月24日 (土) 00時01分

TITLE: Re[1]:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

イッシーさん



昨日はお誕生日おめでとうございます。

弟と同じ誕生日でした。



>オランダのラジオ局、今の写真もいいですね。検見>川も、中を利活用することが無理だったら、公園の>シンボルタワー的に残すのもありかと思います。



いずれにしても、外の爆裂は修理しないといけませんね。

投稿: 久住浩 | 2007年11月24日 (土) 09時13分

TITLE: Re[1]:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(11/23)
SECRET: 0
PASS:

まさやん0386さん

>送信所の機能性を追求していくと、効果的な建物の造作は共通した設計になるんでしょうかね?



どうなんでしょう?ただ、建築物をめぐるミステリーとして面白いと思います。



>このオランダの「Radio Kootwijk」は、とても立派に保存がなされているようですね。



状態はいいですよね。

wikiにもいろいろ写真がありました。お時間のあるときに見てください。



>ホムペも見てみましたが、気合いが入っているように感じました。



英語での説明を読みましたが、それでも、諸問題はあるようですね。

http://radiokootwijk.free.fr/index.php?file=uk_information.php



>さすが古いものを大切にする欧州なだけあります。



日本でも、こういう流れが出てくるといいですよね。

投稿: 久住浩 | 2007年11月24日 (土) 09時23分

TITLE: Re:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?(
SECRET: 0
PASS:

私の見方を紹介して頂いて有難うございます。

送信所のデザインは、曲面好みの山田守が先行して受信所を設計した経緯もあって、吉田が「送信所―受信所」という類縁機能をデザイン上でも統一しようとする意図が働いて吉田好みの歴史様式的(あるいは逓信省の標準建築的)傾向と山田の分離派傾向が合体したようなデザインに至ったように見ています。つまり歴史書で言われるような「吉田氏の迷いを物語る」建物ではないような気がするのです。



第一次大戦後の国際通信予備会議で国際的電波割り当てが課題になった際、各国現有施設に応じた割り当てが示されて日本は国際通信用施設建設を急いだようです。その時期を起点とすれば、最古の現存部類と考えているということなのです。逓信省では古くから船舶通信施設を作っており福島県富岡と原町、船橋にも対外国用の通信施設を持っていましたがこれらは除いた考えです。(遡ってみたとしても、唯一、根室の落石に建物が残っているだけのようです。)



オランダの放送局が現存しているのを見て驚きと感激です!。西欧の建物を書籍から分析しつつ設計を進めていたと語られる吉田鉄郎なので恐らく知っていたでしょう。私は、この写真を見た時「送信所とそっくりだ」と直感いたしました。吉田氏は通信所建物のプロトタイプを模索していたのかもしれません。

投稿: きくち@分離派建築博物館 | 2007年11月24日 (土) 09時48分

TITLE: Re[1]:日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?((11/23)
SECRET: 0
PASS:

きくち@分離派建築博物館さん



>私の見方を紹介して頂いて有難うございます。

>つまり歴史書で言われるような「吉田氏の迷いを物>語る」建物ではないような気がするのです。



僕もきくちさんの説には頷く点が多いと思います。

そして、送信所という特殊な建物としてのユニークさも興味深いものがあります。



また、岩槻、検見川、オランダの建物、この3つには非常に物語性があって好きです。



>唯一、根室の落石に建物が残っているだけのようで>す。



検見川にしても、オランダの放送局にしても、こうして現存しているということは非常にまれなケースなんではないでしょうか?



>オランダの放送局が現存しているのを見て驚きと感>激です!



大嶋さんよりいただいた資料で検索をかけてみたのですが、僕も残っているとは思いませんでした。

Radio Kootwijkで検索をかけていただくと、いろんな角度の写真がありました。どれもフォトジェニックで美しかったですよ。



>西欧の建物を書籍から分析しつつ設計を進めていた>と語られる吉田鉄郎なので恐らく知っていたでしょ>う。私は、この写真を見た時「送信所とそっくり

>だ」と直感いたしました。吉田氏は通信所建物のプ>ロトタイプを模索していたのかもしれません。



やはり、このオランダ放送局にも縁がありそうですね。これはぜひ見に行きたいと思います。

投稿: 久住浩 | 2007年11月24日 (土) 10時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/153718/40736971

この記事へのトラックバック一覧です: 日本現存最古の送信所、検見川無線のルーツは?:

« 「24 -TWENTY FOUR-」シーズン6も26%オフ | トップページ | 「千都よみうり」に10・27検見川送信所を知る会イベントが掲載 »