« 花畑越しの検見川送信所 | トップページ | フィルム現像&CD書き込み »

2008年6月18日 (水)

ライカM3で撮った検見川送信所

先日、千葉の中古カメラ店でズミクロンを購入した際、店主の方から「どうしてフィルムカメラをやってみようと思ったのですか?」と聞かれました。

2008年6月 2日 (月)
初めてのライカ購入記

僕はこんな風に答えました。

「昔の建物を撮っているので、昔の建物には昔のレンズがふさわしいと思いまして」

昔の建物…。頭の中にあったのは検見川送信所でした。

ライカレンズは「空気までを切り取る」とさえ評される。昔のレンズで撮影したら、検見川送信所全盛期の空気を切り取ることだってできるのではないか、と。

どこかで同じようなフレーズを読んだことがある気がしたのですが、それは稲見一良の短編「花見川の要塞」(「セント・メリーのリボン」収録)での一文でした。

2007年10月19日 (金)
●稲見一良「花見川の要塞」

ちょっと読み返してみました。

主人公はカメラマンである「俺」。ふとしたことから、花見川沿いにあるトーチカを発見。そこでナゾの老婆と少年に出会う。話をしているうちに、その2人は太平洋戦争下に生きていることを知る。当時、花見川を渡る軍用列車が走っていて、トーチカは軍用列車を守るためのものだった。

「俺」は少年の手引きでトーチカの銃眼から見える軍用列車の姿を最新のキヤノンEOSで撮影しようとするが、何も写っていない。「俺」はなんとか幻の軍用列車をフィルムに焼き付けたいと思うのだ…。

以下は同小説からの引用。

 銃眼を通して俺にもやっと軍用列車が見えるようになったが、十四日の夜のおそらく最後になる機会を、何としてもカメラで捕らえたかった。幻の映像をフィルムに焼きつけたかった。
 八月十四日は明後日だが、銃眼の向こうの夜は、五十年も昔の一九四五年の八月十四日であるい筈だ。五十年前の光景を撮ろうとするのに、最新の機材では何かが合わないのでないのだろうか。例えば空気といったようなものが違うのではないのだろうか。

そこで「俺」が選んだのはライカIIIb HEER。


ショッピングクレジット分割払12回まで金利1%!!《中古良上品》Leica IIIG

HEERは陸軍という意味で、ライカの中でも珍品とされている。主人公の「俺」はこのライカに古いアグファのフィルムを詰めて、トーチカに向かうのです。続きはぜひ小説の方で。

さて、僕が買ったライカM3は57年製。レンズは64年製のズミクロン50mm。検見川送信所は1925年から1979年まで稼働していました。ファンタジー小説ではあるまいし、レンズを通じて、白亜の局舎が蘇るわけはない。ただ、空気感みたいなものが出ていればいい。

現像から上がってきたのは以下の写真でした。


給水塔と送信所本館

前記事でGR DIGITAL2で撮影した3枚の写真を紹介しました。比べていただくと、面白いかもしれません。

空気まで写ったかどうかは別として、給水塔にある窓を初めて撮影することができました。局舎にはこのような丸みのある木製の窓がついていますが、現在は赤い鉄板で閉ざされています。ということで、これが現在、唯一見ることができる送信所の窓ということになります。


給水塔の窓(詳細)


ライカ 98000円~


ズミクロン

|

« 花畑越しの検見川送信所 | トップページ | フィルム現像&CD書き込み »

Leica ライカ」カテゴリの記事

検見川送信所」カテゴリの記事

コメント

ライカで撮った送信所と聞いただけで、なんだかワクワク気分になってしまいます。私も楽しみが増えました。
モノクロ撮影だとどのように写るのかな。
そして・・ロバート・キャパ的久住さんが目に浮かぶような(笑)

投稿: Kikuchi | 2008年6月19日 (木) 11時28分

あぁ、窓枠が朽ちてますね。
中はどうなっているのか・・・・

フィルムカメラ、好きです。
シャッターを切る音、フィルムが巻かれる音・・・・
いずれも胸にぐっと来ます。(^-^)

デジタルではない質感は、やはりフィルムカメラの特性ではないでしょうか。
私も、古い一眼レフを持って出かけたくなりました。

投稿: 裏猫 あ~ | 2008年6月19日 (木) 15時11分

Kikuchiさんへ

ライカはその歴史などを勉強しながら、徐々に使っています。

デジタルとはまったく違った質感で出るのが面白いです。21世紀に入って、庶民にも手が届く値段になったので、みなさまにも強くオススメしたいです。特に古い建物を撮影するのが好きというkikuchiさんのような方にはぜひ。

モノクロで送信所を撮ると、どうなのか? ということですが、既に撮影はしています。本日、現像に出したので仕上がりは25日くらいになりそうです。ちゃんと写っているか、ドキドキですが。

投稿: 久住コウ | 2008年6月19日 (木) 22時53分

裏猫あ~さんへ

窓枠はある程度が朽ちるのは仕方ないかもしれません。80年以上経っていますから。そこそこ残っている方ではないでしょうか。

中にはロッカーらしきものが見え、入り口自体は反対側にあるようです。

あ~さんも、フィルムフェチでしたか(笑)。
現像が上がってくるまでのドキドキ感もありますね。

>私も、古い一眼レフを持って出かけたくなり
>ました。

どんな一眼をお持ちなんですか?
僕も15年以上前、ニコンの一眼レフを持っていましたよ。バリ旅行の際にインドネシアに置いてきてしまいました。

投稿: 久住コウ | 2008年6月19日 (木) 23時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/153718/41568329

この記事へのトラックバック一覧です: ライカM3で撮った検見川送信所:

« 花畑越しの検見川送信所 | トップページ | フィルム現像&CD書き込み »