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2008年9月28日 (日)

映画「20世紀少年」★★★

最近、映画を見る時間がない。というか、何をするにも時間がないのだが…。

26日(金)午後11時すぎに帰ることができたので、蘇我にあるシネコン、XYZに行ってきた。24時からの上映。深夜営業の映画館はありがたい。料金も1200円。「おくりびと」「アキレスと亀」「トウキョウソナタ」など気になる作品はあるが、選んだのは「20世紀少年」(★★★=5点満点)。

浦沢直樹の同名コミックが原作。舞台は20世紀の終わりの東京。主人公はロッカーの夢に破れ、今は行方不明の姉が残した赤子を育てるコンビニ店長のケンジ。気乗りしないままに出た小学校の同窓会で、妙な話を耳にする。今、世の中で起こっている謎の伝染病や社会事件は小学校時代、秘密基地でケンジが書いた「よげんの書」にある悪の組織の世界征服のシナリオにそっくりだ、と。仲間の誰かが実行しているらしい。ケンジは仲間ともに解明に乗り出すが…。

子供が書いた荒唐無稽な話しが現実になるというストーリーは面白い。細菌兵器、カルト教団…。オウム事件後に書かれた原作は、荒唐無稽さの中にリアルさもある。

少年時代のエピソードは誰もが経験している類いのものであり、草むらの秘密基地、駄菓子屋、大阪万博、平凡パンチといった70年代の風景はノスタルジックな思いに駆り立てる。

大人になって、忘れてしまった冒険心、正義感、夢。それらはセンチメンタルな思いとそうはできない大人になった僕たちにちょっとした罪悪感を「プレセント」してくれるのだ。原作は読んではいないが、これは原作が持っている魅力ではないか、と思う。

では、映画としてどうなのか?と言えば、面白かった反面、後半部に不満が残る。

普通の人間がヒーローにならざるを得ない状況に陥るというストーリーは、最近、ヒットしているヒーローものの流れで、「スパイダーマン」や米人気ドラマ「HEROES」がそれに当たる。

ヒーローというのは、社会においては突然変異の異物である。社会から待ち望まれている一方、「浮いた存在」である。それゆえ、ヒーローたちは悩む。その葛藤がドラマが進んでいく原動力となっている。

そこを描くには、個を描くだけではなく、個と集団、社会との関わりを描くべきだと思う。

ケンジは社会とどう関わっているのか?
パニックが起こった時、人々はどういう行動を取るのか?
カルト教団はどういったことを訴え、勢力を伸ばしたのか。
謎の細菌は新聞やテレビでは報じられるわけだが、政府はどう対策を取るのか、また、空港爆破といった大事件も起こるわけだが、社会はどう反応しているのか。あるべきシーンが欠けているように思える。

ストーリーは壮大なのだが、物語が動いている部分は実は狭い。

劇中ではケンジのコンビニが炎上する場面が出てくる。閑古鳥が鳴いているような店に、カルト教団の信徒がどっと押し寄せるのだが、大騒ぎになるのに、警察も来なければ、野次馬も集まらない。

クライマックス場面も自衛隊機が出撃するくらいの国家的危機にも関わらず、戦いを挑むのは主人公たちだけ。
カルト教団のビルに乗り込むシーンも、無人のビルの入り口で、「開けろ」と常盤貴子が叫んでみたりとナンセンスなシーンが目立つ。「開けろ」と言って、開けてくれるなら、世話はない。

本来、面白くなるはずの後半部分は非常に雜な描写が目立つのが残念だ。

映画は小さな嘘の積み重ねでなりたっている。そこはしっかり嘘の塗りかさねをしてほしい。

映画はコミックファンからは否定的な意見も聞かれる。多分、コミックは丁寧に描かれていて、もっと面白いのだと思うけど。

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コメント

20世紀少年はdvdで十分だと友人が日記に書いていたからdvd待ち。

私は先日トウキョウソナタ見ましたよ。
黒沢清の映画ではじめて涙が出そうになりました。
いい映画でした。

しかし書記長忙しそうですね。
今週金曜日に品川行くのでそちらに寄り道したいなと思っていたんですが
すこし時間ありませんか?

投稿: ようこ | 2008年9月29日 (月) 22時39分

>ようこさん

>20世紀少年はdvdで十分だと友人が日記に書いて
>いたからdvd待ち。

それで十分です。

>私は先日トウキョウソナタ見ましたよ。
>黒沢清の映画ではじめて涙が出そうになりました。
>いい映画でした。

実は僕も今さっき見てきたところです。こちらは後で感想を書きます。

>しかし書記長忙しそうですね。
>今週金曜日に品川行くのでそちらに寄り道したいな
>と思っていたんですが
>すこし時間ありませんか?

お、メールください。多分、仕事場にいますよ。

投稿: 久住コウ | 2008年9月30日 (火) 00時34分

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