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2008年11月14日 (金)

「愛する」(熊井啓監督)★★

●時代錯誤の若者たち

 

原作は遠藤周作の小説「私が・棄てた・女」。ハンセン病と誤診され、診療所に送られたミツ(酒井美紀)。やがて、誤解は解けるのだが、強制隔離政策と人々の差別心情の実態を知ったミツは残ることを決める…。

新生・日活の第1弾は熊井啓監督が得意とする社会派ドラマと愛をミックスさせた青春ストーリー。原作のネガティブ・ワードを「愛する」としたのは、熊井監督の古巣・日活への愛情の現れなのだろうか。

脚本(熊井啓)は、原作の時代から設定を現代(97年)に変えた。2人が出会ったのは、東京の新デートスポット有明。コンサートの帰り、酒井は渡部が売っていた牛丼弁当を買う。このシュチュエーションで牛丼弁当を買う酒井もなかなかいないが、渡部のその後の台詞はもっとすごい。「車で”街”まで送っていこうか」。田舎に住んでいるのならともかく、有明にいて、「街」はないだろうと突っ込みたくなる。

その後、飲み屋でデートした2人。少し酔っ払った渡部は酒井を人通りのない「連れ込み宿」に導く。「泊まっていこうよ」と渡部という誘いに戸惑い、酒井は「嫌よ」と断る。「私、こういうところに来たことないもの」。原作の時代なら、こういう台詞も展開もあるだろう。しかし、映画が描かれるのは97年の東京だ。無理に現代に引っ張る必要はなかったのではないか。若者の風俗の描き方につまづいてしまい、イマイチ乗り切れなかった。

もう一つ、がっかりさせられたのは、ハンセン病についての現状と歴史を岸田今日子に語らせてしまう場面。説明せりふは最後の最後の手段。それなら、タイトルバックの後の文字で「ハンセン病とは・・・」とやってくれるほうがスマートだった。こうした欠点はあるが、話にはテンポもある。初主演の酒井も頑張っている。(97年10月4日、シネマスクエアとうきゅう公開)

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