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2008年12月 5日 (金)

文化課「送信所は残す価値がない」平成2年7月の会議録より

検見川送信所に関する内部資料を情報公開制度で入手した。これらは検見川稲毛区画整理事務所が管理していたものである。

文書には、千葉市の考え方が分かるものがいくつかある。とりわけ、平成2年7月12日、正庁に行われた会議録は興味深い。これは都市整備部長、管財課、都市計画課、公園管理課、公園管理課、公園建設課、教育委員会の文化課、企画調査課、学校施設課という関係部局が集まって、議論した。

検見川送信所について、簡単に経緯を紹介する。

送信所は昭和58年に閉局。この同時期、千葉市は送信所跡地を中心とした検見川五丁目を中心とした区画整理を計画。NTT側と土地の等価交換を行う。通常、土地の等価交換は更地同士が基本であるが、大正15年竣工の局舎だけが付随してきた。NTTはほかの施設は解体したのだが、なぜか本局舎だけは手をつけなかった。歴史的建築という認識があったのか、解体費用に問題があったのかは分からない。

壊すも生かすも、すべて千葉市側に一任すると、丸投げしたのである。

困ったのは千葉市の方だ。跡地は当時、中学校用地として確保したのだが、建物の位置は最も校舎を建てるのにふさわしい場所だった。

会議録
件名:旧検見川無線送信所の建物の取り扱いについて


都市整備部長「2月7日に諮った処分審査委員会での宿題について、翌日関係課と協議した結果、事業サイドにて検討してくるとの意向を受け、措置方法について検討してきた。主旨について所長より説明します」

検見川稲毛土地区画整理事務所長「旧検見川無線送信所の建物をどうするか教育委員会の意見を参考に結論を出した。建物の老朽化が著しい、移転に耐えられない等の理由により取り壊す。なお、歴史的建築物であることを考慮し、記念碑等を設置する」

検見川稲毛土地区画整理事務所所長補佐「施行地区6.8ヘクタールを整備するにおいて減歩率が問題となる。中学校、公園用地を確保(先行取得)することにより、減歩率が緩和されて事業が可能となった。

このためNTT用地の5.3ヘクタールとの交換を進めている。そのうち4.1ヘクタールについては既に交換により取得済みである。残り1.2ヘクタール内に建物があり、交渉を重ねてきたが、千葉市からNTTに譲渡依頼した経緯があり、建物付の交換でしかたないのではないか。

建物が老朽化している。曳家に耐えられないなど保存は極めて困難であるので、記録保存並びに記念碑を公園内に設置したい。目的は土地交換をしなければ事業が進まないということです」

都市計画課「千葉市は昭和63年度に都市景観モデル地区に指定され、現在、建設省経由にて大臣承認申請中である。目的の中に歴史的建築物を保存していこうとなっている。旧検見川無線送信所の建物は千葉市にとって古い建物であり、都市景観ガイドプランの近代建築にリストアップされているので、残す必要があるのではないか。中央地区市民センターの建物取り壊しの問題でも委員会で残すということなので、慎重に検討した方がよいのではないか」

都市整備部長「文化課の見解は貴職において検討願いたいということなので、当方としては解体し、記念碑を設置し、学校建設に支障のないようにする」

都市計画課「建物付きの交換はよいが、取り壊すことはまずいのではないか」

都市整備部長「処分審査委員会にて建物の処置の検討を指示されたので教育委員会と協議した」

都市計画課「歴史的建物であることを委員が承知していたか」

都市整備部長「承知していた」

公園建設課「歴史的価値があるがどうか結論を出さなければ先に進まない」

文化課「建築家というものは自分が設計したものを残したいという考えを持っている。中央地区市民センター(※1)の建物は重要なものではないが、委員会にて残すことになった。問題の建物はNTTの関係者が愛着を持っている。経済的効果を考慮した場合、取り壊しもやむを得ない。取り壊す場合、一般市民は騒がない。OBが騒ぐと思う。それに対処することが必要である。最悪の場合、学校の玄関先に取り付けたらどうか」

都市整備部長「手順が問題になってくると思う。電電のOBが騒いだ時、NTT組織で対処すべく申し入れる」

都市計画課「中央地区市民センターのように学校内に取り込めないのか」

文化課「残す価値はない。地域の特徴を持った学校作りをしているので建設時に復元するような方法も考える必要がある」

学校施設課「従来通り更地でお願いしたい。一部を切り取ってモニュメントを作るということも考えられるが、技術的に可能かどうか専門家でないと判断できない。ただ位置的なことを考えると解体しかない」

都市整備部長「土地利用図面を見る限り、解体しかない」

都市計画課「それは区画整理の考え。取り扱いを慎重にした方がよい」

都市整備部長「公園用地内への記念碑などの設置について公園建設課の考えはいかが」

公園建設課「覚書を締結しているのでやむを得ない。また公園内の便所を擬石洗い出し壁仕上げ工法で作るのはどうか。建物本体の移設は無理」

管財課「処分審査委員会は更地と更地の交換が原則。区画整理法第78条の移転補償をするには仮換地予定地ではなく仮換地指定をしていなければできないのでは」

検見川稲毛土地区画整理事務所補佐「仮換地予定地ではなく案である。年度内に仮換地指定を予定している」

企画調査課「当課はどのような場所にどのような学校が必要かを検討するところである。中学校は7000坪の土地が必要でありその地域の特性を生かした学校建設を基本理念としているので、建築の際この建築様式を一部取り入れるとか記念碑を設置するということは非常に意義がある」

都市計画課「一部復元するのは良いが取り壊すのはマスコミなどの対策を十分にし慎重に行ってほしい」

都市整備部長「この措置については庁内に検討委員会を作り引き続き検討していきたい。都市計画課とは別途協議する。処置方針については今日出た各課の意見を踏まえて学校建築の際一部復元を含め案の修正をし庁内の合意を得たい。建物の取り扱いについては関係各部局の方針決済をとるのでよろ
しくお願いしたい」

(※1 旧川崎銀行千葉支店、後に、さや堂ホールとなり、千葉市指定文化財になった)

住民対策、マスコミ対策の話まで飛び出し、かなり生々しい会議録である。

注目すべきは文化課の考え方だ。ここは文化財の保護などを考える部署である。文化課は、後に市指定文化財となった「さや堂ホール」ですら、「価値がない」と言い切る。果たして、こんな文化課に私たち市民の大事な文化財を預けることができるだろうか。

Part3(06:23)=Part1,2の未収録を中心に再構成。総集編的な内容

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コメント

衝撃的な内容ですね。
この当時は「再開発ありき」の空気が蔓延していたことがよくわかります。
文化課の発言も不可解というか、斜に構えすぎていますよね。
当時の文化課担当者の、そういうパーソナリティが全面に出ているような印象を受けました。

投稿: まさやん | 2008年12月 5日 (金) 11時18分

ひょえ〜、
この財政難、この文化課こそ税金で給料払って「残す価値はない」でしょう。

都市計画課は常識的な認識してるのになぜ、こともあろうに文化課がこんな野蛮なんだろう?

投稿: シン | 2008年12月 5日 (金) 11時38分

>まさやんさん

>衝撃的な内容ですね。

もはや、解説不要ですね。

>この当時は「再開発ありき」の空気が蔓延していたこ>とがよくわかります。

やはり、そう読めますよね。
行政というのは、結論ありきで議論をしているのか、とすら思えます。先日の経済教育委員会での教育委の見解も同様で、まず「国・登録文化財」という考えありきでしたからね。

当時、文化課は都市整備部に結論を委ねると言っており、まったく機能していないことが分かります。

>文化課の発言も不可解というか、斜に構えすぎてい
>ますよね。
>当時の文化課担当者の、そういうパーソナリティが
>全面に出ているような印象を受けました。

個人のパーソナリティーなのかもしれませんが、結論として文化課を代表して発言されたものでしょうから、当時の考え方だったのでしょうね。

投稿: 久住コウ | 2008年12月 5日 (金) 15時10分

>シンさん

>ひょえ〜、
>この財政難、この文化課こそ税金で給料払って「残
>す価値はない」でしょう。

まあ、今の文化課ではなく、平成2年当時の文化課ですけどね。でも、びっくりでしょう?
今の組織がこの程度だったら、本当に困ったものですね。

>都市計画課は常識的な認識してるのになぜ、ことも
>あろうに文化課がこんな野蛮なんだろう?

まさやんさんがおっしゃる通り、パーソナリティーによるのかもしれませんね。

投稿: 久住コウ | 2008年12月 5日 (金) 16時09分

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