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2008年12月24日 (水)

「奇想遺産」★★★★

朝日新聞日曜版に掲載中の建築探訪連載「奇想遺産」をまとめたもの。建築専門家の鈴木博之氏、藤森照信氏、隈研吾氏、朝日新聞の松葉一清氏、山盛英司氏がライター陣。文化的に貴重だということではなく、「奇想」というくだけた視点に絞っているのがユニークだ。

「奇想」というのはそれだけで財産になりうる。まえがきには「旅とは、訪ねた土地の『奇矯な事物』を見物に出かけること」とある。岡本太郎も「なんだ、これはと思うのが芸術なんだ」と言っている。

ワールドワイドな基幹産業である観光とは「世界のなんだこれは」を見に行くことだからだ。

僕が関わっている検見川送信所の保存利活用活動も、「なんだこれは」が出発点であった。住宅地の中にぽっかりと空いた空間、そこにポツンと建つ古びた建物。これは奇想遺産の一つに数えられても、おかしくない。

廃墟と言えば、ロンドン市内にある現代美術館、テート・モダン(Tate modern)が取り上げられている。


YouTubeでは多数の動画が見られる

ここは元は発電所であった。執筆者の隈氏の説明によれば、1950年代に建てられ、81年に閉鎖されてからは不気味な巨大煙突が目立つ気味の悪い廃墟だった。

テートモダンはいまや、パリのポンピドー・センターに匹敵するポジションを獲得し、イギリスの現代アートそのもののレベルを引き上げた。

さらに、この地域全体のバッドイメージを振り払い、ロンドンでもっとも文化の香りがするお洒落な町になったという。

成功の要因の一つは改装デザインにあった。廃墟のイメージを一新するどころか、それを守ったのだ。

おそらく、リノベーションを手掛けた設計者は、建物が放つオーラに息を飲んだのだろう。

僕も検見川送信所を見た時、ここを美術館などのアート施設にしたら、面白いと思った。何より建物そのものがアートである。

隈氏はこう書いている。

「一言でいえば『新築なんて、かっこ悪い』というこの時代を代表する建築なのである。『新築』も『自分』をストレートに出すのも、きれいにちゃんとしすぎるのも、全部かっこ悪いという時代をこの『廃墟』が象徴している」

設計者はスイスのヘルツォークとド・ムーロン。この二人は誰もが知っている有名な建築物を手掛けている。そう、北京五輪のメーン会場となった「鳥の巣」である。

映画『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』予告編/Bird's Nest Herzog & de Meuron in china

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コメント

死ぬまでに見て見たいもの
マダガスカル島のバオバブの木
南米ギアナ高地のテーブルトップマウンテン
エジプトのクフ王のピラミッド
イースター島のモアイ像・・・etc

自然のもの、人造のものを問わずどれも「なんじゃこりゃー!」(松田優作風に)ってものばかりですね。

他の予備知識なしでも、これらだけを見に行ってみたいと思ってしまいます。

奇想天外・・・それこそ人間の興味の対象になるんでしょうね♪

投稿: しぇるぽ | 2008年12月25日 (木) 12時25分

>しぇるぽさん

見たいものがたくさんありますね。
好奇心旺盛です。

そういう方にはまさにオススメの本だと思います。図書館に置いていると思いますので、ご一読を。

>奇想天外・・・それこそ人間の興味の対象になるん
>でしょうね♪

うん、やっぱり見たことものを見たいですよね。

投稿: 久住コウ | 2008年12月26日 (金) 02時27分

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