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2009年1月30日 (金)

教育委員会主催「検見川送信所保存に関する意見交換会」

「旧検見川無線送信所」に関わる意見交換会が1月30日午前、千葉市ポートサイドタワーで行われ、検見川送信所の保存要望を出している3団体の代表が初めて一堂に会しました。3者の思いは共通のものであることがしっかりと確認できる内容で、また一歩前進したと感じました。また、千葉市側は席上、来年度の予算編成で送信所の調査費用として1300万円を計上したことを明らかにしました。予算が通過すれば、4月以降、本格的な調査が行われることになります。

検見川・稲毛区画整理事務所によって、銀杏の木の剪定が行われた送信所(09年1月26日撮影)


(2008年05月31日撮影)

今回の意見交換会は千葉市教育委員会生涯学習振興課主催による初の会合で、「検見川送信所を知る会」「千葉県建築家協会」「検見川町跡地対策委員会」の3団体の代表が3名ずつ参加。

冒頭、生涯学習振興課から、今回の意見交換会について「意見を1本化したいというわけではなく、今後の検討材料の一つにしたい」との趣旨説明がありました。

3団体はそれぞれの立場から保存、利活用の考えを説明。その後はフリートークという形で進んでいきました。

建築家協会「文化財的に価値のある建物を残していくためには活用していかなければいけないと思っています。利活用の方法に関しては、それに適した方法があるのではないか。もちろん、地元の声は非常に大切であります」

跡地対策委員会「建物を地域のために残したいという思いは変わりません。ただ、何億円もかかったため、住民が望む、ほかの施設が建たないということにならないか、心配しています」

知る会「我々は地域の市民運動であり、送信所について勉強し、そこで得たことをインターネットなどを通じて、みなさんに伝えていこうというものです。より広い議論になれば、と思っています。これまでのイベントでは多くの方が参加していただき、会員数も増え、全国から多くの関心をいただいています。利活用に関しては、地元の要望を尊重して欲しいと思っています。区画整理事務所などは文化財だと理解していただき、環境整備をしていただいたことに大変感謝しています」

地元、検見川連合町内会の代表者が集まる「跡地対策委員会」からは「千葉県建築家協会」に対し千葉市指定文化財にするよう要望した理由についての質問が出ました。

建築家協会側は国登録文化財になっている歌舞伎座が近く改築される例を挙げ、「千葉市側が念頭に置いているという国登録文化財は、建て替えたいと思えば、壊すことも可能。市指定を望んだのは千葉市に、送信所をしっかり保存、利活用して欲しいという思いがあるからです。また、市指定文化財では利活用できないということはありません。現にさや堂ホールも利活用されていますし、国の重要文化財であっても、国立美術館などは喫茶店なども備えています。建物が残るから、用途を考えるのではなく、大切な文化財であることをふまえて、建物にあった用途を考えていくことが大事ではないでしょうか」と話しました。

これに対して、生涯学習振興は、「文化財保護審議会の話し合いを経て、決定することになりますが、国登録文化財を念頭に考えています。市指定という場合、可能な限り復原する、というのが基本的な考え。送信所は地域からも利活用を望む声があり、尊重していきたい」と従来の主張を繰り返し、「指定になった場合、使い勝手が悪いからといって、変更は効かない」と話しました。

実際に内部見学も行った建築家協会側は「内部のおのおのの部屋は広く、パーテーションなどで区切ることは可能で、どんな用途であっても、大幅な変更は必要としないと考えられます」と住民側に説明しました。地元の考えとしては、文化財としての価値にも理解を示しながらも、「市指定では活用できないのでは」「跡地全体に予算が及ばないのでは」といった不安があったようです。しかし、建築家協会からの説明で理解をされたようです。

以下は主なやりとり。

生涯学習振興課「さきほどから名前が挙がっているさや堂ホールは文化財保護法が改正される以前に、市指定になっており、事情が違う。利活用することを考えると、国登録がいいと思っている」

建築家「条例には利活用できないとは書いていません。柔軟に解釈していただければ、運用できるはずです」

跡地対策委員会「指定と国登録ではどんな違いがあるのですか?」

生涯学習振興課「建築家協会の方がおっしゃる通り、利活用できないということはありません。ただ、建物の変更については制約があります。手続き上の違いです」

建築家協会「その場合も、変更の届け先は教育委員会ですよね。」

生涯学習振興課「…(特にコメントなし)」

建築家協会「住民の方々はお金のことを心配されていますが、壊すのにも、億の金はかかりますし、同じような規模の建物を建てるのにも、5~7億円はかかるわけです。(教育委員会側は経済教育委員会の席で修繕費として5~7億円)との数字を披露していますが、これは外観を観ただけの印象での概算。漠然とした数字を出すべきではないのでは。誤解を招くおそれがあります」

といった感じで、会合は約1時間25分に及びました。

僕自身は最後に発言させていただきました。

こんな感じの内容です。



「知る会」は一昨年7月、趣味のサイクリングで送信所を見た僕が、代表の仲佐さんに声をかけさせていただいたことがきっかけで出来たものです。こんな歴史的な建物が廃墟になっていることに残念に思いました。その後、検見川も散策しましたが、歴史が残った数少ない町で、素晴らしかった。ここは千葉市の大きな財産ではないかと思ったわけです。

送信所は1930年、日本初の国際放送を行いました。ここからサンフランシスコ、ロンドンへと電波が飛んだわけです。このことは検見川というだけでなく、千葉市の財産、いや、日本の大きな財産だと思います。もっとアピールすべきことなんだと思います。

千葉市がこの建物をしっかりと保存し、利活用していく。このことには大きな意味があります。

送信所の設計者、吉田鉄郎の代表作、東京中央郵便局は保存を望む声も出ましたが、取り壊されています。また、国の登録文化財、歌舞伎座も近く改築されてしまいます。これが文化財の実態なんです。

今、道州制などの検討がなされ、地方の時代と言われています。そんな時代に、千葉市が持っている貴重な文化財を、わざわざ国の登録にする意味はないのです。

千葉市指定文化財にするということは、千葉市は文化を大切にする市なんだ、という意思表明になります。

そうすれば、送信所は再び、人が集まる場所になる。

送信所を起点に、町づくりというのはできていく。検見川という町は豊かになる。それは千葉市が豊かな町になることでもあるわけです。送信所が文化だけではなく、いろんなことの発信源になるんじゃないかと思うんです。その力が送信所にはあるのです。

平成8年だったと思いますが、文化財保護法の改正にあたり、国登録文化財の候補に、送信所も名前が挙がりました。しかし、千葉市は「残す価値はない」といって、国登録文化財にしなかったのです。このことはしっかりと思い返して頂きたい。

私たち「知る会」は来月14日、シンポジウムも開催します。その場では市指定とは何か、国登録文化財とは何かといったことを議題にします。みんなで学んでいこうというもので、その場で結論を出そうというものではありません。

前回、生涯学習振興課と話し合いを持った際(昨年12月)に、「出席していただきたい」とお願いしましたが、話し合っている段階なので出席はできないとおっしゃいましたが、今こそ、市民の生の声を聞くべきなのではないでしょうか。それが行政の務めではないかと思います。




検見川送信所シンポジウム@さや堂
~送信所の未来を考える 「指定文化財」か 「登録文化財」か~

2009年2月14日(土) 11:00~16:30

11:00~12:00 市指定文化財実例・鞘堂見学会(解説:岡部則之)
13:30~16:30 シンポジウム

場所 千葉市美術館 
(〒260-8733 千葉市中央区中央3-10-8)
見学会:千葉市美術館鞘堂(旧川崎銀行千葉支店)
シンポジウム:千葉市美術館11階講堂

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