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2009年4月12日 (日)

「光の教会―安藤忠雄の現場」(平松剛)★★★★

去年の新刊で抜群に面白かったノンフィクション「磯崎新の『都庁』」。この著者である平松剛氏の前作が「光の教会―安藤忠雄の現場」だ。

建築家、安藤忠雄の代表作である茨木春日丘教会が出来るまで描くノンフィクション。一言で言えば、物作りの面白さである。


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平松氏は安藤氏の独特の建築哲学を織り交ぜながら、光の十字架が射し込む教会が出来上がるまで生き生きと描く。

「金がない」と言い切る施主。そして、施主にいろんなことを強いる安藤氏。シビアなやりとりなんだが、関西独特の経済感覚なのか、思わずニヤッとするやりとりが続く。

例えば、安藤氏は敷地内にある木を切るべきではない、と主張する。安く済ませるには、切ってしまった方が簡単なはず。

「前に木があって通る時邪魔なら、避けて通ったらええわけで、それをみんな伐りすぎるんですね。人間、なんで、いつもいつも真っ直ぐ歩く必要あるか、僕はそこで人間が曲がったらいいと思う。もうちょっと、しなやかな感性で物事を考えるべきでしょう。日本人、頭が堅すぎると思うんです」

もっとすごいのは、十字架のガラス部分をめぐる攻防。

安藤氏はガラスをつけるべきではない、という。ガラスがなかったら、雨風も吹き込む。冬は寒くて、たまらないだろう。施主はウンというわけはない。

「寒かったら、一枚着れば、ええんや」みたいなことを安藤氏はいう。住宅ではないし、教会という神聖な場所なのだから、身を清めるという意味でも、素通しでいいという論理。

安藤氏の考え方はとても面白いのですが、不自由を強いる建物って、どうなんでしょうね? 

半分冗談で言っているのだろうと思う方もいるかもしれませんが、Podcastに配信されている東大の講義動画でも、「ガラスをはずせって、言っているんですが」と言っている。どうも本気のようです。

建物を作るということは当然、設計だけでは終わらない。

安藤建築の影には施工業者がいる。同書はそこにも、きちっとスポットを当てている。

映画は絵画、演劇、音楽のエッセンスを織り込んだ総合芸術だと言われるが、建築も同じように総合芸術であり、その制作過程にはドラマがある。

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