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2009年9月 3日 (木)

「失業してしまうかも」KM運転手の嘆き

「私は失業してしまうかもしれないんですよ」

不安げに、そう言ったのは、僕を自宅まで送り届けてくれたKMのハイヤー運転手。

深夜勤務の際はハイヤーで送っていただきます。誤解のないように書くと、深夜においてはタクシーよりハイヤー料金の方が安いのです。

既にニュースでご存知だと思いますが、国際自動車(東京・港)が2日、事業許可取り消しの処分を受けました。今回の国土交通省からの処分は、同社勤務の運転手の過重労働が悪質だと指摘を受けたもので、労働者を守るための国からの罰なのですが、現実は逆のことになっているのです。

「10日の猶予期間を経て、グループ会社での移行ができなかったら、600台近いハイヤーの営業ができなくなります。千数百人の運転手が失業するかもしれないんです。しかもですよ、超過勤務はタクシーで、ハイヤー勤務は関係ないのです」

数年前から、期せずして組合の要職につくことになってしまったので、「働くとは何か」を考えるようになりました。すると、労働に関するいろんな矛盾が気になるようになってきました。

今回の事例は最たるものですね。

超過勤務の実態が明らかになった端緒は知りませんが、おそらくタクシー運転手側の内通でしょう。その人はやむにやまれない思いで訴えたのではないでしょうか。

働くことは大事なこと。しかし、加重労働をして、命を失うことはあってはならないことです。運輸業界で働く方々の中には過労死も多いと聞いています。法律違反の労働が行われている実態に異議を唱えることは正しいことだと思います。

しかし、その結果、最大の不利益を被るのは会社経営者ではなく、働き手なのです。

これはおかしくないですか?

まず、怒りを向けたいのは現KMの経営陣です。経営陣がしっかりとしたビジョンを持ち、法律さえ守っていられば、何ら問題がなかったのです。

この経営陣は労働者、命を甘く見ていないだろうか? 過労死が出るということは、極端なことをいえば、「人殺し」をしているようなものです。過労死はあってはいけないことです。

労働者を軽くみるということは、客の命も甘く見ているということでもあります。タクシー運転手は人を運んでいる。命を預かる大事な仕事なのです。(しかし、タクシー運転手の質の低下は著しい。道を知らなすぎ。これはナビのせいだと思うのですが)。

こんな無能で人命を軽く見る経営陣はいらない。

ただ、過重労働を強いらなければ、経営が立ち行かなくなるという運輸業界の事情も分からないこともありません。

タクシー業界は「規制緩和」の名の下に、台数が一気に増えました。需要がないのに、台数が増えたら、どうなるかは自明の理。過当競争となりますから、運転手の乗車時間も増えます。しかし、やっぱり需要は少ないから、労働しても、収入は増えない。タクシーはお客が実車して、ナンボという厳しい社会です。街を流しているだけでは二酸化炭素を垂れ流しているだけです。

政府は近年、「規制緩和」という言葉を持ち出します。市場原理に任せて、政府はなるべく手を出さない。郵政民営化も、その流れ。いわゆる、「新自由主義」「小さな政府」という考え方です。資本主義において、その考え方は「ゼロ」ではありません。

ただ、結果をみると、規制緩和はあまりうまく行っていない。官僚が規制する仕事が減って、楽をしただけの話です。時にドラスティックな変化も必要かもしれませんが、その前提として、しっかりとしたセーフティーネットを築いていないからです。

今や、「新自由主義」は「無責任」の意味であるし、「小さな政府」は「国民を守らない政府」の意味ではないでしょうか。

道路行政にも文句があるし、民主党が公約に掲げる高速道路無料化にも疑問を持っていますが、ややこしくなるので、ここでは書きません。

このエントリーを読んでいただいた方にぜひ考えていただきたいのは処分のタイミングです。今回の処分執行は政権交代の狭間で行われました。ここに何らかの意味があるように思えます。たぶん、官僚側の都合かなぁ。それともKMつぶし?

国としては、違法労働行為が頻繁に行われている運輸業界を見せしめにするという意図もあったのでしょう。確かに労働市場の正常化は確かに大事なことです。しかし、根本は労働者の命と生活を守ることでしょう。

KM経営陣も気に食わないし、国土交通省のやりかた、仕組みも解せない。

あんまりにも、腹が立ったので、真夜中というのに目がさえてしまいました。どう思います?

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コメント

企業に制裁を加えると結局末端が処分される。
行政側は実績が大事で結末には興味は無いのでしょう。

そういえば大敗した党首も「実績」と連呼していたのを思い出します。

私は通勤途上で骨折して労災が出ないと言われた時、労働基準監督署は労働者を守る部署ではなく、労働者が居る都合で出来た部署であることを思い知りました。
通勤経路で申請した道でなければ代わりに健康保険が使えたがあなたの場合は通勤経路。管轄が違うので健康保険は使えないと健保組合からは言われました。

会社内の安全衛生課も社員の安全のためにあるのではなく企業として労働基準監督署に対する窓口が必要なため用意した組織であることを認識しました。

・・・とこの手の組織にはかなり冷ややかなスタンスです。

>今回の処分執行は政権交代の狭間で行われました。
天下りやら消費者丁発足やら色々がドサクサに行われたようですね。

投稿: アンビンバンコ | 2009年9月 4日 (金) 00時05分

全然関係ない話ですが楽天アフィリエイトで3000ptを越えた成果はイーバンク口座を開設しないと没収されるそうです。
私は不本意ながら開設しました。

楽天ブログはそろそろ潮時かと感じています。

投稿: アンビンバンコ | 2009年9月 4日 (金) 21時46分

アンビンバンコさん

>企業に制裁を加えると結局末端が処分される。
>行政側は実績が大事で結末には興味は無いのでしょう。

そうかもしれません。仕組みとしては弱者をいかに守るかに、視点を置かなければ意味がないのに。

>そういえば大敗した党首も「実績」と連呼していたのを思い出し
>ます。

結果、大敗したわけですから、党首のいう「実績」は、僕らから見て「実績」ではなかった、ということでしょう。

>私は通勤途上で骨折して労災が出ないと言われた時、労働基準監督
>署は労働者を守る部署ではなく、労働者が居る都合で出来た部署で
>あることを思い知りました。

そうでしたね。事故をされたことがありましたね。

>通勤経路で申請した道でなければ代わりに健康保険が使えたがあな
>たの場合は通勤経路。管轄が違うので健康保険は使えないと健保組
>合からは言われました。

結局、何かしらのお金は出たのでしょうか?当該ブログ記事があったら、教えてください。

僕も所属する組合では、5年前、過労死で亡くなられた方がいます。しかし、行政は過労死認定をしてくれなかったため、遺族が国を相手取って、係争中です。組合としては有形無形の支援を続けています。

不条理な事例に対しては、個人で立ち向かうことは難しく、ある程度のまとまりを持って、対抗していくしかないんですよね。

アンビンバンコさんは管理職でいらっしゃるようですから、非組合員ですか?

>会社内の安全衛生課も社員の安全のためにあるのではなく企業とし
>て労働基準監督署に対する窓口が必要なため用意した組織であるこ
>とを認識しました。

安全衛生課の人たちが、どこまで痛みを感じられるか、ということで、その対応は変わってきそうな気がします。

>・・・とこの手の組織にはかなり冷ややかなスタンスです。

僕も、そういう組織には失望しますが、そこでは終わりたくはないですね。

>>今回の処分執行は政権交代の狭間で行われました。
>天下りやら消費者丁発足やら色々がドサクサに行われたようですね。

法律的には問題があるわけではありません。
しかし、それだからといって、まるで問題がないわけではない。
やはり、市民が腑に落ちるかどうかが大事なポイントなわけです。
消費者庁の発足は官僚側の都合でしょうね。

テレビでご活躍の住田裕子弁護士が委員をやめたのも、拙速に対する抗議であったのでしょうね。あのやめ方は不可解でした。

投稿: 久住コウ | 2009年9月 5日 (土) 11時33分

アンビンバンコさん

>楽天ブログはそろそろ潮時かと感じています。

楽天ブログには、愛憎いりまじる感情ですね。詳しくはアンビンバンコさんのブログ記事で書かせてもらいます。

投稿: 久住コウ | 2009年9月 5日 (土) 11時36分

>結果、大敗したわけですから、党首のいう「実績」は、僕らから見て「実績」ではなかった、ということでしょう。
彼のもっとも大きな実績は政権交代ですね。笑
中川さんが泥酔ぶりを世界にさらして日本の円高を救ったのに似た功績です。

>結局、何かしらのお金は出たのでしょうか?
生命保険でいくらかは出たので助かりました。

>アンビンバンコさんは管理職でいらっしゃるようですから、非組合員ですか?
組合員です。世間で言う係長ってやつです。

投稿: アンビンバンコ | 2009年9月 5日 (土) 13時13分

アンビンバンコさん

>彼のもっとも大きな実績は政権交代ですね。笑

面白いですね。
もっと早ければ、よかったですけどね。首相が何人も変わりましたが、民意は反映されていない首相ですからね。

>中川さんが泥酔ぶりを世界にさらして日本の円高を救ったのに似た
>功績です。

なるほど。そういう見方もありますね。わざとやったのなら、オスカー俳優になれそうです。

>>結局、何かしらのお金は出たのでしょうか?
>生命保険でいくらかは出たので助かりました。

それはご自身でかけていたやつですよね。

>組合員です。世間で言う係長ってやつです。

そうでしたか。この不況下、組合も権利を勝ち取ることが難しくなっていて、難しいなぁと思う昨今ですよ。

投稿: 久住コウ | 2009年9月 5日 (土) 14時29分

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