針尾無線塔が国重要文化財へ、将来は公園化
近代建築は暗い話題が多いのですが、朗報が飛び込んできました。
先日、訪れた長崎・佐世保市の針尾無線塔の耐震調査が終わり、震度6弱にも耐えうることが分かったそうです。今度、佐世保市長は国の重要文化財を目指して動き、将来は公園化する構想があるそうです。
【ニュースソース】
「ニイタカヤマノボレ」送信した無線塔、公園に 佐世保(朝日、2009年9月24日13時10分)
針尾無線塔保存を国に働きかけへ 耐震性調査の結果受け佐世保市(長崎新聞)
針尾無線塔は1918〜1922年にかけて、建てられました。90年を経ても、当面、劣化対策の工事をする必要もない、とのこと。
昨年11月、検見川送信所の内部見学会の際に、建築家の方から伺ったのですが、昔のコンクリートは非常に質がいいそうです。
コンクリートを打った直後でも、ヒビが入らない。今のコンクリは「シャブコン」といわれ、強度がないものも多いとか。耐震性は大正、昭和初期の方が高いとも言われます。
針尾無線塔も一度は解体の話が出ましたが、真珠湾攻撃を告げる「ニイタカヤマノボレ」の暗号の発信地でもあり、近くには引揚者を受け入れた港もあることから、戦争の始まりと終わりを告げた市のシンボルだと、地元住民が声を上げ、保存の方向が決まりました。
僕が検見川送信所の保存を呼びかけたきっかけとなった建物でもあり、保存方向が大きく動き出したことはうれしく思います。
【関連記事】
2007年8月13日 (月)
佐世保市役所に聞く〜針尾無線塔、取り壊しから保存へ
2007年8月14日 (火)
針尾無線塔を守る会にノウハウを聞く〜検見川送信所
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