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2009年9月 5日 (土)

「虫庭の宿」暴力追放に成功した由布院

千葉市・稲毛区のテナントビル建設をめぐる恐喝事件で、千葉市市議会議長の小梛輝信容疑者が逮捕されました。千葉市では4月に鶴岡啓一前市長が収賄事件で逮捕されたばかり。市長、議長の相次ぐ逮捕で、千葉市の名前は地に堕ちたと言わざるを得ません。

送信者 稲毛

もちろん、容疑段階ですから、事実ならばということになりますが、市議が暴力団の名前を出して、金品を脅し取ろうということはあってはならないことです。

市政の問題もさることながら、千葉=暴力の町みたいな印象も生まれてしまいました。小梛市議だけでなく、こんな市議を議長に推薦した自民党会派の市議たちには非常な怒りを感じています。推薦人の名前を開示してほしい。

さて、8月29日から2泊3日で映画祭開催中の大分・湯布院に行ってきました。その詳細は機会があったら、書こうと思いますが、事務局の方から手渡された1冊の本を紹介したい、と思います。

同書は由布院の町づくりに奔走された旅館「由布院玉の湯」会長の溝口薫平さんの話を、西日本新聞記者の野口智弘さんが聞き書きしたものです。当時、寒村だった由布院がいかにして、自然を守りながら、世界でも有数の温泉地として、その名を知らしめるようになったのかが書かれています。非常に示唆の多い本で、あちらこちらに付箋をはらせていただきました。

送信者 由布院

その詳細は後ほど触れることにして、由布院の人々がいかにして暴力を排除したか、という話がありましたので紹介させていただきます。

1970年の暮れ、まだ、旅館が閑古鳥が鳴いていたころの話だそうです。玉の湯近くの旅館の主人が、「建設業者の団体客が取れた」と喜んでいたそうです。溝口さんが「話がよすぎる」と思って、調べると、その客は暴力団。ちょうど1か月前に、組長の出所祝いを神戸で行ったばかりだったそうで、地元別府市でも派手な宴会を企画したのだそうです。

しかし、大分県警が動き、組側に通告。別府市内の旅館にも通達が行き渡っていたので、「奥別府」の由布院が目をつけられました。

旅館の主人はあわてて断りの電話を入れますが、「もう日数がない。断ると、どういうことになるかわかっとるだろうな」とすごまれてしまったそうです。

大分警察も動きますが、彼らが暴れない限り、取り締まりはできない。しかし、この暴力団の出所祝いが実現すると、暴力団御用達の町、というイメージがついてしまう。

旅館組合は大慌てです。
長い議論があったようです。彼らは町に繰り出すはずです。
「シャッターを閉めようか」
「それでは、暴力団に鎮圧されたことになってしまう」

そこで、亀の井の別荘の主人がアイデアを出します。

亀の井の別荘 湯の岳庵 由布院

「明日午後2時、全商店が暴力団の放免祝いに抗議してシャッターをおろします」と商店街に通告し、さらに、この「無言の抵抗」をメディアに取材してもらうことにしました。

大分県警には「われわれは暴力追放に立ち上がることを決議しました。ただ、未然の問題点のひとつとして警察力の不足が話題になりました。暴力追放などの相互連絡を密にするためには警察力の強化を早急に実現されるようお願いする」という内容の要望書を提出し、プレッシャーをかけたわけです。

さて、午後2時のチェックイン。黒塗りの車が続々と由布院に入ってきます。旅館の人々は向かいの旅館から監視。両手にポケットを突っ込んだ黒服の組員がにらんできたそうです。

午後2時、200ある由布院の商店街が一斉にシャッターをおろします。そうなると、彼らはどこにもいけません。カメラをむけられた組長は「撮るなら、撮れ。大きく載せろ」との捨て台詞を残して、全員が引き揚げていったそうです。

これって、すごくないですか?

これは団結の力、市民のひとりひとりの勇気ですね。

翌日の新聞には「湯の町は怒る」「商店、旅館200軒が休養」「勇気あるパントマイム」などとの大見出しで報じられたそうです。

当時の町長はこの日、出張で不在だったそうですが、すぐに「暴力追放宣言町」の決議案を議会に提出。二度と暴力団に足を運ばせないことを全国に宣言したのだそうです。

やっぱり、由布院はいいですね。すごい!!

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コメント

以前、お客様で公共料金の未納を督促するお仕事をされていた方が、やはり怖い方のところで手を焼いて、最後は電気を強制的に止めた・・・なんて話を思い出しました(笑)

暴力に対抗する力は暴力だけではありませんね♪

まぁ、その方はもと警察OBだから脅しにも屈しなかったんでしょうけれど、一般人が結束してこれだけの結果を出したとは!湯布院はすごいなぁ

投稿: しぇるぽ | 2009年9月 5日 (土) 21時44分

しぇるぽさん

>以前、お客様で公共料金の未納を督促するお仕事をされていた方
>が、やはり怖い方のところで手を焼いて、最後は電気を強制的に
>止めた・・・なんて話を思い出しました(笑)

担当者の方はさぞ怖かったでしょうね。


由布院の方も、暴力団と対峙した時は、怖かったそうです。
それはそうだと思います。

この小梛容疑者は取材に対して、「暴力団は町を守ってくれる」とも話したそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090904-OYT1T00103.htm?from=main5

>暴力に対抗する力は暴力だけではありませんね♪

ガンジーのような無抵抗主義にはなれないかもしれませんが、三人よれば文殊の知恵とでもいいましょうか。

>まぁ、その方はもと警察OBだから脅しにも屈しなかったんでしょ
>うけれど、一般人が結束してこれだけの結果を出したとは!湯布院
>はすごいなぁ

同書については後ほど書こうかと思いますが、個性あふれる30代の男性3人が、知恵を出し、行政を巻き込みながら、町づくりに燃えた結果ですね。

知恵と勇気の本で、面白いので読んでいただきたいです。

投稿: 久住コウ | 2009年9月 5日 (土) 23時31分

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