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2009年10月 6日 (火)

検見川送信所「本」に関する公益信託基金の助成

検見川送信所に関する書籍発行について、放送に関する公益信託基金の助成を受けることになりました。11月下旬に大阪で行われる贈呈式に出席する予定です。

助成は取材を対象にしたもので、出版先については決まっていません。本年度中になんとかまとめて、来年度中に出版先を探したいと考えています。

検見川送信所は1926年、逓信省の建築家、吉田鉄郎氏の設計により、竣工しました。1930年10月27日にはロンドン海軍軍縮条約締結を記念した放送を米英に届けました。これが日本で初めての国際放送になったわけです。しかし、周囲の宅地化、通信環境の技術革新によって1979年に閉局。その後、都市計画によって、中学校となるはずでしたが、今日まで廃虚状態のまま、放置し続けられました。

地元で生活する市民の立場から「こんな重要な建物が廃虚のままにしてよいのか」と思い、ネットなどで呼びかけ、2007年夏に有志とともに「検見川送信所を知る会」を発足。現在も活動を続けています。

本年度の完成を目指す書籍では、国際放送の舞台裏を中心に、開局から閉局までを多角的なアプローチで描いていきたいと考えています。執筆はおそらく半分を過ぎたところですが、書き進めるにつれ、検見川送信所の記録を残す意味をより強く感じています。

というのも、国際放送を行った1930年と、それから約80年経った現在の共通点に、気づかされるからです。

1930年という年は世界恐慌の翌年。失業者が溢れ、人々は多大な生活不安を抱える一方、ラジオが躍進的に増えた時代でした。日本の放送は1925年に始まったわけですが、この年、受信契約数は70万人に達します。

もちろん、70万という数は多くはありません。しかし、街頭に置かれた1台のラジオ受信機に黒山の人だかりが出来る時代だったのです。

また、政権交代もあり、改革派の濱口雄幸が首相に就任し、緊縮財政を実行したのです。

また、人々は日々の暮らしの不安と同時に、得体の知れぬ戦争にも脅えていたでしょう。そんな時に、3か国の首脳が軍縮を宣言するわけです。人々の期待はいかばかりだったのか?人々は初めて世界がひとつにつながる瞬間を見た(正確には聞いた)わけです。いわば、グローバリゼーションの始まりのお話であるわけです。

さて、2009年の現代はどうでしょうか? 

08年秋、サブプライムローンの破綻をきっかけに、「100年に1度」とも言われる不況が起こりました。雇用の問題は非正規労働者だけでなく、正規社員にも起こっています。

当時のマスメディアである、ラジオはインターネットに取って替わりました。僕らはオバマ大統領の誕生の瞬間をテレビ、ネットで目撃しました。そして、プラハでの平和演説、「核なき世界を目指す」といった安保理決議もありました。

80年前の出来事が、今とシンクロしているのです。

一方、変わったことも大きいです。メディアの変化、グローバリゼーション…。確かに物理的に世界はつながりました。しかし、本当に世界はつながったのか? そこには素直にYESと言えない部分もありませんか?

科学技術の進歩は、人々の生活を楽にしたのか?

80年前の経済不況の中でも、松下幸之助は従業員を切ることをしませんでした。「従業員を半減にしないと、会社はもちません」との箴言に、松下は「一人の首も切ってはあかん」と言いました。それは「好況も不況も人が作り出したもの。それを人がなくせないはずはない」という確固たる哲学があったからです。松下はこの不況を見事に乗り切り、1930年代後半にはラジオで大もうけをします。

「検見川送信所の物語」では、こうした時代背景なども盛り込んでいきます。

また、検見川送信所の職員、逓信省のトップ、濱口雄幸首相ら様々な人々が登場しますが、それぞれに日本人としてのプライド、大正から昭和にかけての日本人の精神みたいなものが見えてきます。

白洲次郎のような著名人でなく、歴史上では無名の人々が、日本人の誇りをかけて、知恵を絞り、国際放送を成功させる。僕は彼らに非常なシンパシーを覚えるのです。ドラマ、映画の素材としても面白いと思います。

少しでも、ご興味を持っていただける出版社があれば、ぜひお声がけください。

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