« 映画「沈まぬ太陽」 | トップページ | 後輩の突然死 »

2009年11月 4日 (水)

検見川送信所、千葉市長が保存を明言

熊谷俊人千葉市長が10月30日午前、初めて検見川送信所の内部を視察し、同建物の保存を明言しました。

詳しくは「検見川送信所を知る会」HPにて。

この視察は市内外の人々による市民グループ「検見川送信所を知る会」が今年8月、熊谷市長を訪れ、保存に向けた早期調査を要望した際、会のメンバーが「市長自身の目で内部をみていただきたい」と依頼したことを受け、実施されました。

送信者 千葉市長、内部見学会

まだ道は半ばですが、保存に向け、大きく前進しました。

中心になったのは、「知る会」のメンバーではありましたが、地元の方々の協力、知る会会主催のイベントに参加してくださった市議のみなさん、各媒体で報じてくださったマスメディアのみなさん、日本建築家協会、ドコモモジャパンの方々、送信所職員のOBの方々、千葉市教育委員会生涯学習部、区画整理事務所の力だと思います。

40代の大人(一応)があえて青臭いことを言わせてもらいますが、どんなに困難なことでも、みんなで力を合わせれば、世の中を変えられる。

これは僕の決意というか、信念といってもいい。何も一人がめいいっぱい努力することはない。一人一人が自分のできる範囲で努力をすればいい。

ちょっとした努力が全体の大きな力になる。

また、「そんなことはできない」と、あきらめた瞬間、夢は夢のまま終わるのです。

僕が送信所と出会ったのは07年7月のことでした。

2007年7月12日 (木)
●廃墟・遺構を行く〜検見川送信所2007夏

夏草が生い茂る空き地の真ん中に、建物はボロボロになりながらも、力強く建っていました。その造形に目を奪われながらも、最初に思ったのは「もったいない」ということと、「なぜ、この建物は30年近くも廃墟であり続けたのか」という素朴な疑問でした。

送信者 千葉市長、内部見学会

調べれば、設計者はモダニズム建築の有名な建築家、吉田鉄郎氏であり、さらには日本初の国際放送も成し遂げている。内実ともに立派な建物なのですが、90年代には建物は不良のたまり場になって、治安上危ない、とか、古くなった建物は気味が悪いとか、悪評が飛び交うようになっていたそうです。

あまりに、あまりではないですか。

悪評の原因はひとつです。それは「建物の価値を知らないこと」あるいは「知ろうともしないこと」。人々の無知、無関心がよってたかって、建物を「廃墟」にしてしまったのです。

しかし、原因が人々の無知、無関心であるならば、逆も可能なはずです。人々の関心を呼び起こせばいいだけの話です。みんなに、この建物を知ってもらおう。そうやって、この活動はスタートしました。

「建物を守る会」とせず、「知る会」としたのも、そういう意味です。知ってもらえれば、その先は「守るべきか」「壊すべきか」は議論の余地がない。

もちろん、「そんなにうまくはいかないよ」との声もいただきました。「廃墟を文化財に」というキャッチフレーズでイベントを開催したところ、「廃墟を強調されたら、困る」といったおしかりの声もいただきました。

ご意見も理解できないことはありませんが、「こんな大事な建物が廃墟になっているのがおかしい」と言っているのです。

僕はある集まりで、こう申し上げたことがあります。

「送信所の今ある廃墟状態は千葉市そのものの姿であり、人々の無関心さを表す鏡である」と。

熊谷市長は財政の正常化を訴え、奔走しています。まだ知らない人もいるかもしれませんが、千葉市は公債比率(つまり借金の割合)が約25%と高く、現状のままなら、第二の夕張の道を進むとも言われました。

この事態を招いたのは費用対効果、市民の生活を無視した大型公共事業の推進が大きな原因です。

これらは前市長時代の「負の遺産」ではあるわけですが、そうした体制を許してきたのは市民自身であったわけです。

「政治家が悪い」とか「市が悪い」と一方的には、けっしていえないはずなのです。責任は市民の側にもある。

検見川送信所は廃墟になるべくして、廃墟になったのです。

送信者 千葉市長、内部見学会

送信所の再生は千葉市の再生でもあり、新生・千葉市のシンボリックな存在になるでしょう。

これからは千葉市や政治家にお願いしたり、任せっきりにするのではなく、市民の側が働きかけていかなければいけない。

「何か施設を作ってほしい」とお願いするのではなく、「どうやって施設を作っていくのか」を提案し、ともに作り上げていく。そういった考え方が必要なのではないでしょうか。

今後、調査が行われ、保存に向け本格的な議論が起こるかと思いますが、大きな壁となって立ちはだかるのは、お金の問題です。ただ、そこは必ず解決できると思っています。

既に30日夜の千葉テレビのニュース、31日付の読売新聞、朝日新聞、東京新聞、産経新聞、千葉日報でトップ級で報じられ、同会メンバーのブログ、千葉市長のブログでも報告されていますので、ご覧ください。

|

« 映画「沈まぬ太陽」 | トップページ | 後輩の突然死 »

検見川送信所」カテゴリの記事

コメント

当日はお疲れさまでした。

「何も一人がめいいっぱい努力することはない。一人一人が自分のできる範囲で努力をすればいい。」

この言葉に激しく同意します。
偉業を成し遂げた人は、実は周囲が思うほど艱難辛苦を味わっているわけではない。
信念に基づいて、ある意味では生き方を楽しんでいる向きもあるはずです。だから偉業を成し遂げられるんだと。

「知る会」の活動も、そりゃ私以上に久住さんはじめ皆さんのご苦労はあると思っていますが、
それでも「歯を食いしばって」「汗をたぎらせて」というモードではないですよね。
ちょっと背伸びをする程度の力でも、集まれば大きなエネルギーになる。それを証明していると思います。

そういえば、
「知る会のホームページの更新スピードがとても早い」
という好評価をいただくことがありますが、
これとて僕は決して歯を食いしばっているわけでもない。
振り返ってみると、嬉々としてPCに向かっている自分がいるんです。
下世話な話、全然カネにもならないし、時間も消費する。
じゃ、何がそうさせているか、というと
「送信所をとりまいている事実を、リアルタイムにすばやく公にしたい」という思いなのかと。
やっぱりそこは『信念』なんだと思います。

投稿: まさやん@埼玉 | 2009年11月 5日 (木) 12時23分

まさやんさん

>当日はお疲れさまでした。

途中退席、申し訳ありませんでした。

>「何も一人がめいいっぱい努力することはない。一
>人一人が自分のできる範囲で努力をすればいい。」

>この言葉に激しく同意します。

組合でも、執行委員に同じことを言っています。

>「知る会」の活動も、そりゃ私以上に久住さんはじ
>め皆さんのご苦労はあると思っていますが、
>それでも「歯を食いしばって」「汗をたぎらせて」
>というモードではないですよね。
>ちょっと背伸びをする程度の力でも、集まれば大き
>なエネルギーになる。それを証明していると思い
>ます。

そうですね。省エネモードでの運営ですね。
まずは費用対効果です。
それから、少しずつ賛同者を増やしていくこと。これが武器になるんじゃないかと思っています。

>下世話な話、全然カネにもならないし、時間も消費
>する。

>じゃ、何がそうさせているか、というと
>「送信所をとりまいている事実を、リアルタイムに
>すばやく公にしたい」という思いなのかと。
>やっぱりそこは『信念』なんだと思います。

これこそがボランティアの考えですね。つまり、自分で動く、ということです。

日本でボランティアというと、違った風に受け取られますが。

僕はこうした意識についても問題提起をしたいと思っています。

投稿: 久住 | 2009年11月 5日 (木) 20時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/153718/46659665

この記事へのトラックバック一覧です: 検見川送信所、千葉市長が保存を明言:

« 映画「沈まぬ太陽」 | トップページ | 後輩の突然死 »