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2010年1月29日 (金)

「働き方革命」(駒崎弘樹)★★★★

働くことはどういうことだろうか? その根本を考えた人は少ないのではないだろうか? 

僕の身近なところでは、04年6月、過労により亡くなった人がいる。しかし、過労死は認定されず、裁判を続けている。原告となった夫人は小さな子供を2人抱えながら、大変な苦労をされて、自分の夫がどれだけの労働をしていたのか、証拠集めに奔走し、署名運動などを展開されている。

日本人は基本的に働くことが好きな人種だ。しかし、日本の時間当たりの生産性は主要先進国7か国で最下位だという。同書は、長時間労働の呪縛から離れて、個々の「働き方」を変えていこうと提案している。

それには自己イメージが大事だという。ジュール・ヴェルヌの「人が想像できるものは必ず実現できる」ではないが、人間は自己イメージに基づいて行動する。つまり、できると思えば、できるし、最初からできないと思えば、何も生まれない。イメージが行動を規範するわけだ。

筆者は留学先の米国で、「ジュンセンおやじ」なる人物に出会う。ジュンセンは農業をしながら、中学教師になる夢を持ち、夜間はミニカレッジに通い、留学生を迎え入れるマイホームパパだった。彼は仕事をしながら、家族にも、地域にも貢献している。こんなオヤジになりたい、働くということはお金だけが対価じゃないことに気づく。

「働く」ことは飯を食うためでもあり、人生の何らかの価値を実現することでもある。いろんな価値を実現できることだ、と。

やがて、働くの語源に改めて思い返す。そもそも、「働く」とは「傍(はた)」を「楽」にすることから来ている。自分を楽にして、他人を楽にして、地域を楽にする。つまり、人生を生きることが「働くこと」そのものである。

ITベンチャーの経営者である著者はそれまでガムシャラに働いていた。しかし、働き方を改める。

時間を区切り、効率を上げようとするのだ。具体的には「がんばるタイム」というものの導入だ。これは1時間、電話も受けず、仕事のみに没頭する時間を作るというもの。その考え方を会社にも家庭にも持ち込んでみる。途中、障害も出るが、社員の効率はアップ。仕事が早く切り上げられれば、ほかにもできることができる。家庭で働くことも、地域で働くこともできるというわけだ。

著者が言う「働き方革命」は単に会社で働く、というだけにとどまらない。不況の今だからこそ、経済のあり方や働き方を見つめ直すチャンスではないか、という。

まさにその通り。こうした革命は個人からでも、できるはず。やがて、それが世の中を動かす力になるんだろう。今、読むべき本です。

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コメント

何度か転職を経験すると否応なしに働くことの意味を考えさせられるような気がしますね。

私にとっては、勤労の義務を果たす手段であり、明日の糧を得る手段でもあり、もしかしたら生きることそのものなのかも知れません。

ただ、日本人は闇雲に働き過ぎだと思います。しかも大半はダラダラと非効率的に(笑)

働くときは必死に働く代わりに、オフはきっぱり仕事から離れて暮らしを楽しむ。そんなライフスタイルがいいなぁ・・・と“イメージ”しています。

けじめをつける意味として対外的には『仕事は嫌い』と公言していますが、本当は好きなのかも?知れません(笑)

投稿: しぇるぽ | 2010年2月 9日 (火) 22時41分

しぇるぽさん

>何度か転職を経験すると否応なしに働くことの意味
>を考えさせられるような気がしますね。

でしょうね。終身雇用制度の中にいる限り、働き方は考えないかも。

>ただ、日本人は闇雲に働き過ぎだと思います。しか
>も大半はダラダラと非効率的に(笑)

そうなんです。効率性を上げて、短時間勤務に努める方がよいのです。

>働くときは必死に働く代わりに、オフはきっぱり仕
>事から離れて暮らしを楽しむ。そんなライフスタイ
>ルがいいなぁ・・・と“イメージ”しています。

僕も同じなんですけど、結構、働いていますね。

>けじめをつける意味として対外的には『仕事は嫌
>い』と公言していますが、本当は好きなのかも?
>知れません(笑)

仰る通り、しぇるぽさんはなんだかんだいって、仕事好きですよ。嫌いな人は単にさぼりますから。

投稿: kuzumik | 2010年2月10日 (水) 00時07分

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