« 「どうして僕はこんなところに」(ブルース・チャトウィン)★★★★ | トップページ | 「運命の人」(山崎豊子)★★★★★ »

2010年2月21日 (日)

「微差力」(斎藤一人)★★★★☆

著者は納税額トップでおなじみの斎藤一人さん。「銀座まるかん」の創業者なのだが、この方はずいぶん変わった人らしい。

納税額の公表は数年前、個人情報保護の観点から非公表になったが、これにガッカリしたお金持ちは斎藤さんくらいではないか。普通、金持ちという人は、こういうことを隠したがる。しかし、人っり巻末のプロフィールを見ると、ご丁寧に1993~2004年分納税額の順位が載っている。総合納税額は173億円。しかも、これは土地の売り買いや株式公開などバブリーなお金ではなく、事業所得による収入というから恐るべし。

斎藤さんは自身のことを「一人さん」と呼ぶ。最終学歴は中学卒。大人たちを見ながら、「学歴は必要ない」「早く社会に出て、学んでしまった方が早い」と判断したのだそうだ。

お名前通り、孤高の人だ。こんな個性的な方だから、真似はできないと思ってしまうが、一人さんファンは多い。それは答えがシンプルで、説得力があるからなんだろう。

一人さんは「人間は幸せになる義務がある」と書く。権利じゃなくて、義務というのがみそ。しかし、現実には、幸せな人と不幸な人が。その違いは微差だが、微差が大差を生んでいる。例えば、日本一高さの富士山は超有名だけど、二位は知られていない。これが一位と二位の差。

バンクーバーオリンピックのカーリングの勝ち負けもメジャーで測定してやっと分かるような微差が分かれ目。ほかの競技にしても、0・00秒の差がメダルの色を決めるというわけ。やっぱり、微差というのが大切なんですね。

だから、一人さんは微差に執着したら、という。

「その執着度によって、結果が違うのです。それによって、微差、微差、微差が積み重ねるたびに、倍、三倍、10倍と変わってきちゃうのです。だから面白いのですよ、微差は」

語りかけるような文体で、なんか読んでいるうちに、ちょっとだけ努力しようかな、と思ってしまう。

「この地球という星は、行動しないと、何も起きない星なんです。何も行動しないで、世の中は変わりません。安定は動くことです。自転車と同じです。止まってしまうと、倒れてしまう。安定とは動くこと」

なるほど。

同書は単行本だが、文字も行間も大きく、小一時間で読み終わってしまう。これで1500円か、少し高いかと思ったが、最後のページには追伸として、「この本は最低でも七回読んでくださいね」とある。

やられた。

原稿量は少ないけど、その分回数を読め、と。そう来たか。

この一押しがまさに「微差力」なんだよね。

|

« 「どうして僕はこんなところに」(ブルース・チャトウィン)★★★★ | トップページ | 「運命の人」(山崎豊子)★★★★★ »

書評 ブックレビュー」カテゴリの記事

コメント

あ! っと最後の追伸は読み落としてました!(^_^;)
確かに最低7回は読まないと真髄はわからないかも。

「いいんだよ、信じなくても。でも、本当なんだよ」
というフレーズも、なかなかずっしりと残ります。

投稿: まさやん | 2010年2月22日 (月) 09時28分

>まさやんさん

遅くなってしまいました。

>あ! っと最後の追伸は読み落としてました!(^_^;)
>確かに最低7回は読まないと真髄はわからないかも。

確かに、気がつかないかも。

>「いいんだよ、信じなくても。でも、本当なんだよ」
>というフレーズも、なかなかずっしりと残ります。

一人さんはしっかり稼いでいますからね、説得力がありますね。

投稿: kuzumik | 2010年3月 7日 (日) 10時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/153718/47628417

この記事へのトラックバック一覧です: 「微差力」(斎藤一人)★★★★☆:

« 「どうして僕はこんなところに」(ブルース・チャトウィン)★★★★ | トップページ | 「運命の人」(山崎豊子)★★★★★ »