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2010年4月18日 (日)

ライトオンした「太陽の塔」と「光の教会」を見に行く 大阪万博から40年。「進歩と調和」を考える?

3か月に1回ペースで大阪に出張に行くのだけど、大抵は東京にとんぼ返りになってしまう。今回、時間があったので、延泊して、プライベートに当てることにした。

そうだ、「太陽の塔」を見に行こう。

以前から興味があった。「太陽の塔」は言わずと知れた岡本太郎の代表作で、1970年の大阪万博のシンボル的な存在である。

万博のテーマは「進歩と調和」。しかし、その意図は岡本の反逆であったことは以下のエントリーでも触れている。

2010年2月 9日 (火)
「岡本太郎 『太陽の塔』と最後の闘い」(平野暁臣)★★★★

岡本太郎は太陽の塔製作について、こんなことを言っている。

「EXPO'70=進歩と調和だというわけで、テクノロジーを駆使してピカピカチャカチャカ。モダニズムが会場にあふれていることは目に見えている。それに対して、ガツーンとまったく反対のもの、太古の昔から、どんとそこにはえていたんじゃないか、と思われるような、そして、周囲とまったく調和しない、そういうものを突きつける必要があったんだ」

岡本は進歩と調和というが、人類はちっとも進歩なんかしてしてないし、調和だってなされていない。相変わらず世界中では戦争だって、起こっているじゃないか、と思ったようだ。

その進歩の象徴のひとつである、大阪モノレール「万博記念公園駅」で降りると、太陽の塔が見えた。ハンパなく大きな塔だ。近づけば、近づくほど大きさを実感する。

岡本の反逆を表現するには、ちょっとぐらい大きいだけではダメだったようだ。ベラボーな大きさのプリミティブな像が欲しかったのだろう。コミック「20世紀少年」では、この太陽の塔が動いて、町を破壊するシーンが出てくる。地面にどっしりと立っているが、今にも動き出しそうなポーズを取っている。

送信者 太陽の塔

カメラはGR DIGITAL II。今回撮影した「太陽の塔」の写真はこちら

真ん中にある顔は口を尖らせて、なんか拗ねたような、というか、しょぼくれたような表情だ。大屋根広場を突き破って、こんな顔が下を向いていたのかと思うと、ものすごい皮肉じゃないか。岡本太郎はすごいブラックジョークを真剣にやり遂げたのだ。

今年は大阪万博40年にあたる。3月27日には一番上の黄金の顔の目にライトが入れられたことが話題になった。万博中は運輸省から特別な許可を得て、強い光を放つクセノン投光器がついていた。写真を見ると、光の筋がつくほどの強力なものだ。

終了後には消されたわけだが、近くには伊丹空港があり、管制塔の光と間違われる可能性があったからだという。万博中はそんなアクシデントもなかったわけだから、間違う可能性はほとんどないじゃないか、とも思うが、「空の安全のため」と言われれば、仕方ないのかもしれない。

今回ライトがつけられたのは40周年ということもあるが、LEDによって、環境に負荷をかけずに、管制塔のライトとは別質の弱い光を出せるようになったことが大きいようだ。LEDにおいては「進歩と調和」が実現されたということだろうか。塔全体のライトアップにあわせて、目のライトも午後11時まで点灯されるという。

大阪万博のことを知りたかったら、公園内にある「EXPO'70パビリオン」を見に行けば、よい。ここは元々、前川國男設計した「鉄鋼館」である。

送信者 EXPO'70パビリオン

万博の記録映像の上映と記念品が展示されている。映像を見る限り、周囲は未開発の土地で、そこを造成して、無数のパビリオンが建てられた。そして、そのほとんどがわずか半年のうちに解体された。1970年が大量消費社会であったことを体現している。

跡地はその後、再開発計画によって、公園とされ、自生する森を目指して、植樹が行われた。公園内には芝生があり、各種の植物が植えられ、その意図通りに森として再生しつつある、という。これは21世紀的な考え方で、巨大な実験場とも言えるのだろう。

午後は「国立民族学博物館」を訪ねた。ここは万博終了後の跡地利用計画の中で生まれた建物で、万博の開催の際に蒐集された世界中の生活用品、仮面、宗教の像、楽器などを展示されている。万博の常設展みたいなものか。希望すれば、ガイド機器も無料レンタルしてくれる。ガイド機器はPS2を利用したもので、展示番号と合わせて、音声、映像、研究員による解説が聴ける仕組み。こんな利用法もあるんだ、と感心した。

博物館はちょうど音楽展示と言語展示が新しくなったばかりで、週末には講演など各種イベントも開催されている。本気で見ると、ゆうに1日は費やせるだろう。僕は休憩などを含めて、3時間半くらいいたらしい。日本庭園には行く時間がなかった。

次に目指したのは安藤忠雄設計の「光の教会」だ。吹田市といえば、茨木市は隣ではないか、と思い出したわけである。iPhoneで検索すると、最寄り駅「阪大病院前」から徒歩で行けると分かった。

ホームページによれば、2010年4月から牧師館の工事が始まり、見学は制限されているらしい。ここは安藤忠雄の代表作ともされているし、本などでも紹介されているから、「見学したい」という人が後を絶たないのだろう。それでも、外観くらいは見られるだろうというハラだ。

大阪モノレール「阪大病院前」から歩いて約10分、「光の教会」はあった。閑静な住宅地にある、とは聞いていたが、想像以上に静かな町だった。

電柱広告に「茨木春日丘教会」とあるくらいで、「安藤忠雄設計の有名建築はこちら」といった雰囲気ではない。実際、建物も安藤の特徴的なコンクリート建築ではあるが、一見、箱みたいな建物で、周囲は緑に覆われている。その特徴である礼拝堂の「十字の窓」も外からは非常にさり気ない。

入り口には「見学者の方々へ 本日は教会内行事のため一般の方々の見学はご遠慮いただいています。次回お越しの際には、事前に電話連絡をお願いします」というお知らせが出ていた。

教会では礼拝が行われる日曜午後などに見学を受けつけているが、その他の日は事前連絡が必要とのことだ。内部見学は叶わなかったが、「低コスト、周囲との調和」という安藤忠雄の意図は感じることができた。

送信者 光の教会(安藤忠雄)

「光の教会」については過去エントリーを読んでいただきたい。今回撮影した外観の写真はこちら

2009年4月12日 (日)
「光の教会―安藤忠雄の現場」(平松剛)★★★★

ちょうど夕刻になるとしていたので、どうせなら太陽の塔のライトオンを見に行こうと思った。万博公園桜まつりの期間中(3/27~4/11)までは午後9時まで開園だったが、今はなかには入れないので、正面ゲートから見るしかない。

午後6時すぎ、日没。日が落ちる時間帯はマジックアワーと呼ばれる。地平線に太陽が沈んでも、うっすら光が残り、空の一部が赤や青に染まる。1日のうちで最も光の変化が激しく、美しいと呼ばれる時間帯である。

太陽の塔は午後6時すぎ、ライトアップされ、黄金の顔の両目から光が放たれた。昼間は中央にある第2の顔に目が行くが、光が出ると、今度は黄金の顔に視線が移る。もう一つの顔が突然、現れたようだ。

送信者 太陽の塔

これも岡本太郎の意図であろう、光を得た目は遠くを見透かしているようにも見える。ウルトラマンを迎え撃つ怪獣のようとも表現される人もいたが、なんか「エレキング」にも似ているよね。

存在感は抜群で、調和なんか無視した原始的な形状の異物である。僕は日が完全に落ちるまでの間、この怪物に睨まれて、動けなかったのである。

太陽の塔絡みでは、挙式プラン「太陽の塔Wedding」(9/19、9/20)というのもがある。太陽の塔の前で挙げる世界に一つだけの挙式だそうだ。なかなかぶっ飛んだ企画じゃないか?

今回の旅の道中は以下で見ることができる。

万博記念公園~光の教会


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コメント

当時は大阪在住だったこともあり、大阪万博は2~3度訪れた記憶があります。
まだ小学校に上がったばかりなので、その記憶は断片的ですが。
開催時に太陽の塔の目が光っているところは、見たのかもしれませんが記憶にはありません。

あの前衛的なフォルムは、それはそれで大阪万博の顔だったし、閉幕後、記念公園になってからも大阪人の僕にとっては全然違和感がありません。今もそうですね。
ただその太陽の塔のデザインに、大阪万博のテーマに真っ向から反駁する岡本太郎氏の発想が練り込まれていたのはついぞ知りませんでした。
そう考えると、何だか塔がもっと大きく見えますね。

投稿: まさやん | 2010年4月19日 (月) 12時04分

まさやんさんへ

>開催時に太陽の塔の目が光っているところは、見た
>のかもしれませんが記憶にはありません。

本日購入した「岡本太郎と太陽の塔」によれば、3・5キロのキセノンショートアークライトが正面のエキスポタワーに向けて光線を照射する、とあります。男が立てこもったという事件もあったようです。

>ただその太陽の塔のデザインに、大阪万博のテーマ
>に真っ向から反駁する岡本太郎氏の発想が練り込ま
>れていたのはついぞ知りませんでした。
>そう考えると、何だか塔がもっと大きく見えますね。

岡本太郎は相当な覚悟を持って、万博に立ち向かっていった。だからこそ、作品が力強いのでしょう。

投稿: kuzumik | 2010年4月19日 (月) 22時37分

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