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2010年4月 5日 (月)

「ツイッターノミクス」(タラ・ハント)★★★★ ウェブ社会で必要になるのは金ではない、ウッフィーだ。では、ウッフィーとは何?

「ツイッターノミクス」はツイッターと経済をかけ合わせた著者の造語。ツイッター経済学だろうか。

著者タラ・ハントはカナダのアルファブロガー(影響力のあるブロガー)で、ウェブ・マーケティングの第一人者。本書ではツイッターだけにとどまらず、今のウェブの世界で、どのような方向性、考え方が成功するのかについて綴る。

ツイッターは140字以内で発信できるミニブログのこと。この説明は適切ではないが、それ以外に短く定義できないところもあるなぁ。

さて、ツイッターには食わず嫌いの人も多い。そんな人のために本書から靴の米オンライン販売会社ザッポスのCEOトニー・シェイ氏の言葉を引用しよう。

「ツイッターでつぶやくと、自動的にフォロワーに送られる。でも、相手は忙しかったり興味がなかったりすれば無視するだけだろうから、こんなつまらないことを言ったら恥ずかしい、なんて考えなくていい。最初はとまどうだろうけど、まあだまされたと思ってやってみてほしい。みんなとつながっていて、いま何をしているのか知るのに最高の方法だってことがすぐに分かると思う」

僕はフォロワー700人ちょっとなので、大きなことは書けないが、それでも、ツイッターの威力は感じている。政治家と、意見や情報交換をほぼリアルタイムでできるというのは、今までなかったメディアだ。それを証拠に、このブログの更新はとんと止まってしまった。

うまくつぶやくコツについては著者、ハントの言葉を借りよう。以下は企業向けのアドバイスであるが、個人でも同じようなものだ。

・基本は全員参加できる会話を続けることである。
・特定の誰かのコメントするときは公開はしない。
・DMを上手に活用する。
・ブログを更新したら知らせる。
・自分のブログだけでなく、みんなが興味を持ちそうなブログが更新された時は知らせるといい。
・プレスリリースを知らせる。
・きまじめで通すことはない。
・小ネタ、ギャグも交えよう。
・名言を引用する。
・動画やポッドキャストへのリンクを張る。
・上手に問題提起して大勢の知恵を借りる。

ツイッターの魅力は「集合知」と言われる。独り言でストレス解消もひとつの使い方だが、なるべく、多くの人が参加できるようなツイートが理想といえよう。

「ツイッターノミクス」とあるように、金の儲け方を期待すると、やや面を食らうかもしれない。

ハントはウェブ社会においては貨幣よりも信頼、尊敬といった外部評価が大事になるという。それを「ウッフィー」と呼ぶ。これはSF作家、コリィ・ドクトロウのSF「キングダムで落ちぶれて」の中で出てくる貨幣の代わりになる存在だそうだ。

ウッフィーを駆使して成功した例としては、オバマの大統領選が挙げられる。ネットでのクチコミが当初、不利と言われた闘いを逆転に導いた。あるコンサルタントはオバマの選挙戦から学ぶべき7つの教訓を上げている。

(1)自己組織的な運動を設計する
(2)一貫性をもって、しかし臨機応変に行動する
(3)計画は控えめにする
(4)目標は高く設定する
(5)人の輪を広げる
(6)親密度を高める
(7)真の革命を起こせるのは理想である。

その逆として、ブロガーに金を払って、自社商品の記事を書いてもらうサービス「ペイパーポスト」を紹介する。このビジネスは結果的に失敗した。利用したブロガーは金で買われたヤツとの評価となる。いわば、ウッフィーを金で買った形だが、お金で買えば、ウッフィーは消える、という。

ウッフィー自体には直接の貨幣価値はないが、金、あるいはオバマの大統領選での勝利のように大きな運動の力になるものともいえそうだ。

有機乳製業メーカーのストーニーフィールド・ファームの話。

CEOのゲイリー・ハッシュバーグの口癖は「よいことをして成功する」だそうだ。著書「エコがお金を生む経営」ではグリーンな事業を収益に結びつける方法を解説。ハッシュバーグは「地球によいことをする」という高い目標が事業の成功に役立ったのではなく、それが成功の原因だったという。


企業というのは利益追求があり、利益が出れば、税金を納めるわけだから、社会に貢献するのは当たり前だが、「社会貢献そのものを事業目標にする」という形を提案する。現実にはかなりハードルが高いのは間違いが、現実に上記のような企業が存在する。

では、ウェブ上でウッフィーを増やすにはどうすればいいか?

以下は5つの法則だそうだ。

(1)大声でわめくのをやめ、まずは聞くことから始める。
(2)コミュニティの一員になり、顧客と信頼関係を築く。
(3)わくわくする体験を創造し、注目を集める。
(4)無秩序もよしとし、計画や管理にこだわらない。
(5)高い目標を見つける。

経済学のゲーム理論の中でも、目先の利益を追うよりも、「敵に塩を送る」タイプの人間の方が最終的に成功を収めるという結論も出ている、という。人間は相互応酬的(目に目を)あるいは互恵的(キブ・アンド・テーク)な行動を執る習癖がある、という。

全体を通してみると、その論調は「金より信用」ということになろうか。その結論自体は新しいものでもないが、様々な事例を用いて説明しているので、ビジネスのヒントがあるし、個人としてウェブをどう使うかも考えさせられる。ベストセラーの「フリー」と合わせて読むことをオススメする。結局、どんなにウェブ社会が進化しても、その根っこの部分は変わるまい。

最後に前述のザッポスのCEOのモットー10を引用。何かのヒントになれば。

(1)サービスを通じて感動を与える
(2)変化を歓迎しよう
(3)楽しく、ちょっとヘンテコに。
(4)何でもアリの冒険精神で
(5)学習と成長
(6)率直なコミュニケーションで風通しのいい関係を
(7)家族のようなチームワークを
(8)少ないりシースで多くを
(9)やる気と本気
(10)あくまでも謙虚に。

ちなみに、解説は津田大介さん。こちらも興味深い。津田さんはまさにウッフィーをためて、成功をしてきた人だと分かる。

2010年1月 2日 (土)
「フリー」(クリス・アンダーソン)★★★★

2009年12月29日 (火)
「Twitter社会論」(津田大介)


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コメント

食わず嫌いです(笑)

>「地球によいことをする」という高い目標が事業の成功に役立ったのではなく、それが成功の原因だった・・・

これは判るような気がしますね。本気でそう思ってやっていなければ、取り組みも中途半端になるでしょうし、成果に対する市場の評価も然りでしょう。

こういう経営者の元で働いてみたいもんですね♪


目先の利益よりも、敵に塩を送るというのは、私もモットーとしています。特に、この国のちっぽけな市場でいがみ合うのは得策じゃぁありませんし。

投稿: しぇるぽ | 2010年4月 5日 (月) 12時31分

しぇるぽさん

>食わず嫌いです(笑)

しぇるぽさんに向けたメッセージだったことは分かってしまったか(笑)ツイッターしましょうよ。

>「地球によいことをする」という高い目標が事業の
>成功に役立ったのではなく、それが成功の原因だ
>った・・・

>これは判るような気がしますね。本気でそう思っ
>てやっていなければ、取り組みも中途半端になる
>でしょうし、成果に対する市場の評価も然りでし
>ょう。

>こういう経営者の元で働いてみたいもんですね♪

ツイッターミクス的な部分よりも、こういう経営的な部分にひっかかってしまう自分。生き甲斐などを考えれば、こういう会社が理想ですよね。

目先の利益よりも、敵に塩を送るというのは、私もモットーとしています。特に、この国のちっぽけな市場でいがみ合うのは得策じゃぁありませんし。

投稿: kuzumik | 2010年4月 6日 (火) 22時50分

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